| 第94回兵器特許どう思いますか?
 ミサイルやロケットは職人技も必要ですし、最先端の技術も当然必要です。
 最近のロケットは
 もっぱらコストダウンがメインテーマになりつつあって、
 技術的に飽和した部分も多くなってきているかもしれませんが、
 弾道ミサイルや迎撃ミサイルの開発には
 まだまだ最先端の技術が必要不可欠です。
 このような兵器についての特許出願は可能なのでしょうか?そもそも出願する意味はあるのでしょうか?
 まず、実際問題として世界各国には多くの『兵器特許』が存在します。
 あれこれ例を挙げるまえに手っ取り早いお話を持ってきますと、
 特許を分類するための「国際特許分類(IPC)」という
 世界標準の分類表があるのですが、
 その中のF41という項目は
 「武器;爆破」というカテゴリになっています。
 さらに細かく見てみますと、
 「発射または引金機構,撃鉄起こし」、
 「砲身,銃身,銃砲口取付具」といった中分類から
 「機関銃再装てん器」、
 「発射速度制御」、
 「時限式多連装発射用の電気式連射スイッチを用いるもの,
 例:ロケットランチャー」
 といった小分類まで用意されています。
 ここまで来ると、狩猟用銃器の範疇を越えていますよね。
 いかにも武器らしい部分についての発明でなくとも、暗視スコープに関する発明とか、
 高精度の距離計に関する発明になりますと、
 民生用機器との境界がぐっと曖昧になってきます。
 最先端の軍事技術についても同じことが言えます。第70回でもお話しました携帯電話のCDMA技術は
 もともと米国において軍事用に研究が進められていたものが
 民間に開放された技術です。
 クアルコムという会社が
 この基本技術を使った応用特許を山のように出して
 巨額の特許料収入を得るに至りました。
 兵器特許を出願する側からみると、実は非常に大きな悩みの種があります。
 それは特許出願内容が公開されてしまうことです。
 せっかく独占権を得ても
 公開された発明内容を他国に黙って真似されたら
 元も子もありませんものね。
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