知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第109回
世界の特許法(台湾編)

前々回、台湾の特許法
(ちなみに台湾では特許法といわずに専利法といいます)は
日本の特許法に忠実に倣ってきた経緯があると申しましたが、
少し捕捉するところから始めたいと思います。
日本の特許法は、大きく分けて大正10年と昭和34年に
法の骨格が変わるような大改正がなされたのですが
(現行法も昭和34年法の流れにあります)、
台湾は日本の大正10年法の流れを汲んでいるといえます。

それでも2001年の改正で優先権制度が導入されたり、
2004年改正では特許法は日本と同様に異議申立制度が廃止され、
実用新案法においても日本と同様に無審査登録制に移行したりと、
日本の現行法の流れを取り入れた動きもあります。

あとちょっと変わったところでは、
特許権侵害に伴う損害賠償額の算定については
日本にはない「故意侵害には3倍賠償」と言う考え方が
導入されているようです(ここは米国流ですね)。
米国流といえば台湾には再審査請求制度もあります。

あえて本質的な部分を後回しにしましたが、
台湾はご存知の通り中国との関係がありますので、
1つの国とみなすべきか、
あるいは1つの地域であるのかが微妙です。
はっきりしていることは、
台湾はパリ条約にも特許協力条約(PCT)にも加盟していません。
しかし、日本から優先権主張出願できますので、
この点は台湾のWTO加盟(2002年)に伴う
TRIPs協定に基づくものと解釈できるかと思います。

また、台湾へは中国語(繁体字)に加え、
英語、日本語での出願も可能のようです
(指定期間内に中国語の翻訳文提出が必要ですが)。
日本では今でも日本語か英語でしか出願できませんので、
国際性の点では台湾が一歩勝っていますね。

経済発展の歴史や産業構造、
それにこれからの台湾の動向については、
このサイトをご覧のみなさまには
釈迦に説法ですので自粛致します(笑)。
ただ1点だけ、台湾では日本の知財高裁のような機関の設立が
目下検討されているようです。

次回は韓国の特許制度についてお付き合いください。


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2008年4月29日(火)

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