知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第110回
世界の特許法(韓国編)

お隣の韓国の特許法も
日本の特許法に倣っているという点に関しては、
私の受験生時代に仲間から聞いた話が強く印象に残っています。
韓国でも
日本の弁理士試験に相当する国家試験があるのだと思うのですが、
韓国の一部の受験生の間では
私たちが使っていた受験テキスト(日本の弁理士試験用)が
そのまま使われているというのです。
それだけ条文の体系が似ているということだと思います。

事実、細かい指摘はしませんが、
何についての規定が第何条にあるという条文の構成が
よく似ています。
現在、日韓特許審査ハイウェイの取り組みが始まっていますが、
日米の審査ハイウェイよりも
スムーズに事が進むのではないでしょうか。

その一方で、
韓国の特許法が日本の制度と大きく異なる制度を取り入れている
(取り入れようとしている)点については、
出願時に特許請求の範囲の提出が猶予されている点や、
米国の継続出願(RCE)に
類似の再審査請求制度の導入を検討している点に
見て取ることができます。
その他、出願審査請求期限が
日本の出願後3年以内に対して出願後5年以内とか、
手続き言語として
日本では日本語のほかに英語が認められているけれども
韓国では韓国語に限られるとか、
若干の相違点はあります。

さらに、事件名はいちいち挙げませんが
韓国の裁判所で示される特許事件の判決も
同様の日本の事件の判決を
かなり参考にしている様子がうかがえます。
もちろん、日本の裁判所にしたって、
米国の判例に倣ったり
(あるいは、倣わなかったり)することもありますので、
こうした相互の勉強はお互い様だとは思います。

さきほど少し触れました「日韓特許審査ハイウェイ」は
新聞でもご覧になった方が多いと思いますが、
昨年4月から取り組みが開始されています。
このハイウェイの件に限らず、
両国特許庁長官レベルの会合も
これまでに20回近くもたれているようです。

今後は、日米欧の3極のみならず、
日中韓とか、日中韓豪、日中韓星といった連携も絡みながら、
知的財産に関する欧米圏とアジア圏との
折り合いがつけられていくものと思われます。


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2008年5月1日(木)

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