| 第115回数字で見る中国の特許事情
 最近、このコラムで「世界の特許法シリーズ」をはじめましたが、中国については非常に重要であることは理解しているものの、
 なかなか取り上げにくい状況にあります。
 というのも数字が示すことと
 実体との乖離がまだまだ大きいからです。
 ハイQサイト読者の皆さまにとっては
 当たり前ということなのでしょうけれども、
 国土の広さと圧倒的な人口のせいで、
 「頭は竜だけど、尻尾はオタマジャクシ」という事態が
 知財の世界でも起こりえます。
 具体的な想定としては、特許出願件数が世界一になると同時に
 模倣品が出回る数も世界一ということが
 実際に起こってしまいかねないということです。
 ですから、中国に関する知的財産の話題は、一年に何回かにでも分けて、
 定点観測的に継続して取り扱っていくことが有効と思います。
 3年も経てば事情が一変してしまうようなスピードで
 発展していますので、
 途中、前回や前々回に言っていたことと
 事情が変わるということもあるかもしれません。
 併せて、実態には相当程度の幅があるということを
 頭の片隅に置いて頂けますと幸甚です。
 ではまず、取り上げやすい数字の話です。 出願(登録ではありません)件数を見るときに、とりあえず2005年のデータを一つの目安に致しますと、
 特許・実案・意匠の3分野での総出願件数は、約38万件でした。
 この内訳は、第1位は意匠で約15万件、
 第2位は実案で約14万件、第3位が特許の約9万件です。
 ところが、2007年には状況が大きく変わります。出願件数はやはり前年(2006年度)比で20%強も増加して
 約69万件(!)となりましたし、
 その内訳も特許(出願)約24万件、
 実案(出願)約18万件、意匠(出願)約26万件と、
 ついに特許出願が実案出願を抜いてしまいました。
 意匠出願を抜くのも時間の問題でしょう。
 全体のパイもどんどん大きくなっていますし、中身も先進国のそれに近いものとなってきています。
 ちなみに、2006年度の日本の出願件数は、特許約41万件、実案約1万1千件、意匠約3万6千件でした。
 ここ10年間、ほぼ横ばいの数字です。
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