知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第121回
世界の特許法(ベトナム編)

ベトナムは社会主義国ですので、
何も知らなければつい旧ソ連の制度を連想してしまいます。
旧ソ連の時代には、
個人発明家を手厚く保護する特許制度なんてありませんでした。
個人が生み出した特許発明といえども「国家の財産」として扱われ、
代わりに発明者には国家から
報償としての「発明者証」が与えられるだけでした。

じゃあ、ベトナムは?ということで調べてみますと、
さすがにハイQサイトでも話題になるだけのことはあり、
民主的で日本の制度にも近い知的財産制度が
運用されはじめていることに驚きました。
一番新しい制度は、2006年7月1日から施行された
統一的な知的財産法です。
特許の審査も自国内で行われるようですし、
知的財産に関する各種世界条約にも加盟しています。
PCTにも加盟していますから、
国際出願してから移行国の一つとして
ベトナムを選択することもできます。
昨年1月にWTOにも加盟しましたね。

ベトナムの特許制度における日本の制度との共通点を挙げますと、
審査では
新規性や進歩性についての判断もきちんとなされるようですし、
拒絶された場合の不服申し立て制度や
特許を無効にするための無効審判制度、
それに特許後の権利範囲を調整するための
訂正審判制度も完備されています。
出願時の言語も原則はベトナム語ですが、
英語での出願も可能
(ただし、出願後3ヶ月以内に
ベトナム語による翻訳文の提出が必要)
というところあたりも日本とほぼ同じです。

ただし、統計的な観点からは、
ベトナムにおける特許出願件数はまだまだ少ないです(1)。
ご覧いただければお分かりかと思いますが、
90年代半ばに外国からの出願件数がぐっと伸びたものの、
2002年までは1年で1200件程度に過ぎません。
国内の出願は、30〜50件程度で横ばいです。
ここ数年のデータがちょっと見当たらないので
なんともいえませんが、
このままでは立派な制度が泣いています。

特許出願や知財戦略はまだまだこれからだという意味では、
きっと現状ではこなれていないでしょうから、
現地代理人の使い方に工夫がいるかもしれませんね。

http://www.noipvietnam.com/html/inventions.html


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2008年5月27日(火)

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