知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第124回
思いついた発明を言葉にしてみましょう

発明のもととなるアイデアを思いついたとします。
実は誰でも思いついています。
特許になるかどうかは別として、
普段使っている道具のちょっとした工夫とか
新しい試みに通ずる創造など、
すぐに書き溜めておかないだけで、あるいは醸成させないだけで、
誰もが無意識に日々発明してしまっているものなのです。

では、それをどうやって書き溜めておくかは
ひとつのポイントになります。
物の構造であればスケッチも結構ですが、
これって意外とアイデアを縛ってしまいかねません。
つまり、道具のある部分の止め具の改良を思いついたとして
1種類の構造をスケッチしたとします。
しかし、止め方にはいろいろあって、
こっちを出っ張らせるのかあっちを出っ張らせるのかで
構造の異なったものになりますし、
何箇所で留めるかによって作用効果も違ってきます。
では、思いつくだけのバリエーションを
全部スケッチにしてしまえでは時間がかかって仕方ありません。

そういう場合には、
思いついたアイデアの本質を言葉で表現してみることが
有効になる場合があります。
言葉がもつ抽象性や曖昧さをうまく利用して、
多少のバリエーションを全部吸収するような特徴を
言葉で簡単に書き留めておくのです。

言うは易しですので、具体例を挙げますと、
丸い鉛筆があって無造作に机上に置くと
コロコロと転がってしょうがない。
だから、
「転がったときに重心位置が偏心する鉛筆
(そうすると転がりにくくなる)」
という具合に書き留めておくのです。

もしここで、「四角や六角の鉛筆」を具体的にイメージしてしまって
様々な断面形状のスケッチを始めたり、
「鉛筆の留め具」をイメージして
シャツのポケットにも刺せそうなデザインの
ピン留めタイプのものをスケッチし出したりすると、
互いにもう片方の発想が出てこない可能性があります。

転がりにくい鉛筆が出来たとして
その核心部分は何かを言葉で探すと、
転がったときに鉛筆断面の重心位置が偏心することが
一番の特徴ということになります。
そうして、この本質部分を言葉で押さえることにより、
多角形状の鉛筆も
ピン留めタイプの留め具がついた鉛筆も
いずれも転がると重心位置が偏心しますので
バリエーションの範疇に組み入れることができます。
例として極端な部分もあったかもしれませんが、
こういう言葉探しの訓練って大切です。


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2008年6月3日(火)

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