| 第128回実践の巻 〜こんなアイデア相談されたら?
 唐突ですが、本コラムも残すところあと3回となりました。第130回をもって「知的財産ってわかりますか」は終了です。
 最後まで悔いの残らないように頑張ります。
 ラスト3回は、第125回から3回にわたって披露させていただいた
 特許調査のコツを実践で試してみます。
 総仕上げですね。
 これは、知財スタッフとして勤務していた企業で実際にあった発明相談です。
 積極的に出願したいということではなく、
 こういうアイデアを会社で実施しようかどうか検討中なんだけど、
 既に特許になっているといけないので
 ちょっと調べてもらえませんか、という内容でした。
 もちろん、調査の結果、先行技術がなければ
 自分が発明者となって出願したいとのこと。
 その方は会社の省エネを推進する部門におられて、社屋の屋上にたくさん設置されていたエアコンの室外機に目をつけて
 省エネを試みたいということでした。
 どうやるかというと、構造は簡単です。
 何十台も屋上に並べられている室外機の上部に、
 ちょうど「ひさし」になるように太陽光パネルを取り付けるのです。
 全てのパネルは南の空を向くような傾斜角をつけて取り付けます。
 このような単純な構成で、良いことがなんと同時に2つも起こります。
 1つ目は、屋上の地面を新たに占有することなく
 設置できた太陽光パネルの発電による省エネ効果です。
 2つ目は、これら太陽光パネルを
 ひさしのように室外機上に設置することによって、
 日中の室外機の温度上昇を防ぎ、
 室外機の運転効率がアップすることです。
 この2つ目の効果は私も知りませんでした。
 そういえば、夏場の冷房効率アップを謳って
 DIYなどで室外機のカバーが売られています。
 しかし、実際に売られている室外機カバーの替わりに太陽光パネルで覆うだけで本当に特許になるのでしょうか?
 そもそも、そのような分かり易い構造で
 特許出願はなされているのでしょうか。
 3×3×3の法則を使って実践です。キーワード軸としては、
 「室外機」「太陽光(パネル又は発電)」「カバー」
 という言葉がまず思い当たりますね。
 さて、どのようにキーワードを展開させますか?
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