知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第129回
実践の巻 〜3×3×3の法則で命中させよ!

本コラムも残すところあと2回です。
総仕上げとして前回に引き続き特許検索の実演中ですが、
エアコンの室外機の上部を従来のカバー(日除け)でなしに
太陽光パネルで覆うアイデア(第128回ご参照)を
思いついたとして、
「室外機」「太陽光(パネル又は発電)」「カバー」
というキーワードを出発点として
どのように言葉を展開していけばいいでしょうかというお話です。

まず、「室外機」についてですが、
これは通常エアコンと共に使用される機械ですので、
「エアコン」とか「空調」、
もう少し欲張って「冷房」「暖房」「冷暖房」といったキーワードを
OR条件として展開していかれても良いかも知れません。

次に、「太陽光(パネル又は発電)」」については、
「太陽光」のほかに
「ソーラー」というキーワードで言い替えることもできますし、
これに「パネル」や「発電」といった言葉を
くっ付けるか分けるかのバリエーションも考えられます。
また、最後の「カバー」についても、
「庇」「覆(い)」「屋根」
「日除け」「日よけ」「遮へい」「遮蔽」
といった言い回しが考えられるのではないでしょうか。

実は、これらのキーワードをどのように組み合わせるかによって
検索結果に大きな違いが出てきます。
3つの概念にはそれぞれ似たような言葉が集まってはいるものの、
該当件数が数件しか出てこない組み合わせもあれば、
数百件も出てきてしまう組み合わせもあります。
組み合わせを何回か変えてみて、
ヒット件数が数十件〜百数十件程度に落ち着くように調整します。
ここが最後のミソです。

こうして「3×3×3の法則」に沿って考えてみたキーワードを
特許電子図書館の公報テキスト検索(1)に入力してみますと、
図1のように48件ヒットしてきました。


ここではじめて一覧をのぞいて見ます。
すると、一覧リストの中に
特開2002−076407「空調室外機を利用した太陽光発電装置」
という公開公報が見つかります。
代表図面を図2に示しましたが、
当初相談のあったアイデア(第128回ご参照)に
限りなく近い構成です。
要約の欄には、
「空調室室外機の日除け部材を利用して太陽光発電を行う。
空調室外機1の上部を覆う板状の日除け部材3の上面に
多数の太陽光発電部5を設ける。」
とあります。
まさにドンピシャリのものでした。

結局、ご相談いただいたアイデアの社内実施は、
検討の末、見送られたと聞いています。

http://www7.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjkta.ipdl?N0000=108


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2008年6月14日(土)

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