| 第130回命の危機は「食卓汚染」と「食の堕落」から始まった
 「日本人は便利を得たかわりに心を失った」という人がいますが、いまや
 「便利さの代償に命を失いかねない」…
 そうした食の危機の時代といったらよいでしょう。
 平成10年の農業白書でも明らかなように、
 日本の食料自給率は40%を下回り、
 穀物自給率は20%を割りつつあります。
 農薬まみれの中国野菜、
 防腐剤、発色剤まみれのアメリカの果物は、
 発ガン性や神経障害の危険をもたらしました。
 季節を問わず、いつでも野菜や果物が口に出来る
 という便利さの代償は、
 ガン、糖尿病といった生活習慣病を蔓延させました。
 ファーストフードのハンバーグやポテト類、
 コンビニの弁当に、子どもたちの小さな命は
 大きな心身の代償を払わされているといったらよいでしょう。
 まさにフードクライシス・食の危機です。
 BSE、いわゆる狂牛病の事件を思い出してみましょう。牛の成長を促がすのに、
 いわば「人間に人間の骨肉を食べさせる」にも似た
 生態系を打ち破る愚行が、この地球上で平気でまかり通っている…
 これが食の危機、命の危機を象徴しているわけです。
 では、この食の危機(フード・クライシス)を
 解決する方法があるのでしょうか?
 大抵の識者は政府や監督官庁の責任を追及します。
 もちろん、食料政策の杜撰さをケシからん!と
 糾弾することは大切ですが、
 それだけであなたの命を守れるとは思えません。
 なぜか? 食の危機を引き起こす原因は垂れ流しの〈食卓汚染〉だけではないからです。
 70年代に始まった高度経済成長は
 農業の工業化と食品の輸入拡大化に、
 高タンパク、高脂質の肉や揚げ物を好む
 欧米式の食生活を日本人が慣れてしまったからです。
 栄養バランスの優れた日本古来の食の知恵を忘れさせる
 〈食の堕落〉が始まってしまったからです。
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