元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第309回
大往生より大養生!

最近、あちらこちらから患者学や養生学という
健康キーワードが声高に叫ばれるようになりましたが、
別に300年前の「養生訓」の世界に舞い戻れとはいいません。
免疫学の安保徹教授が「過ぎたるは及ばざるが如し」といい、
外科医の帯津良一博士が
「好きなものを少々食べる」ことが養生の秘訣だと説きます。
狭い医学の領域ではなく、
広い意味での生命学・処世学の視点から命の人生訓が聞ける…
これこそ患者にとって本当の医療=命の療法ではないでしょうか?

やがて50歳以上は5000万人、6000万人といわれる
長寿難病時代に本格突入します。
こうした社会では、
やみくもにピンピンコロリの「大往生」を願うまえに、
どうしたら自らが納得して30年、40年の人生後半を貫けるか?
どうしたら心無い医師に頼らずに健全な心身を保てるか?
こうしたしたたかな養生学、
いや、賢い患者学を設計すべき時代でしょう。
「大往生」を夢見るまえに、
「大養生」が大切な時代です。

大養生といえば6月の下旬に発売された
月刊「文芸春秋」特別版の大特集の総タイトルが
その「大養生」でした。
僕の敬愛する帯津良一博士を巻頭に、
いま時代の先端を行く
スローへルスな名医たち、著名な養生の達人たちなどなど、
95人の書き下ろし「長寿の秘訣」を
230ページに凝集したものです。

帯津医師は21世紀の養生について
「今日も沖には未来あり」というタイトルで、
死をしっかりと見つめる希望について述べておられます。
僕の盟友でやはりトータルケア医療を目指す土屋繁裕医師、
前に紹介した免疫学の安保徹教授、
さらに日野原重明・聖路加国際病院理事長から、
マクロビオティック玄米正食法の権威・石田英湾さんまで、
そうそうたる「生命学」のリーダーたちが
原稿を書いておられるわけです。
片隅に「養生上手は排毒上手」という
僕の拙い文章も載っています。
いわゆる“臓器切断名医”たちの自慢話ではなく、
患者にとって本当の「生命学の知恵」が
たっぷりつまったところが魅力の読本です。
ぜひ一読を奨めます。

不況下の雑誌の売れ行き不振とは恐ろしいものですね。
芸能有名人のゴシップのみならず、
他国の要人の下卑た醜聞に血眼になり、
「他人事」「他人イジメ」で溜飲を下げようとする雑誌が
やたらと目に付きます。
メディアの紙価もどんどん下がっています。
そうした情報疲弊の中で、
心底に抱える1人1人の読者の不安を見事に抉り、
長寿社会の希望に答えを探り出す…、
「すべては自分」時代の格好の読本として
じっくりと読み耽りました。


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2003年7月2日(水)

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