元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第310回
バカ殿が君臨する?大学病院

心身の健康を守り、長寿の難病に克つには
どうしたらよいのか?
文芸春秋の特別号「大養生特集号」の話を取り上げましたが、
最近、注目に値する雑誌の医療特集について
もう少し紹介しておきたいと思います。

いま発売中の「週刊金曜日」という雑誌に、
「ドクターハラスメント3=大学病院は腐っている」
という大特集が掲載されていますが、
これは現場の医師、医療ジャーナリストはもちろん、
いま病棟に入院している患者さん、
必死に看護している家族の皆さんも必読だと思います。

巻頭では、僕の盟友でもある外科医・土屋繁裕医師が、
内科医で作家の永井明さんと
「なぜ、患者本位の治療がされないのか?」
「なぜ、ドクターハラスメントが蔓延するのか?」
という素朴な疑問について
徹底的に明らかにしています。

土屋医師は、このコラムでも何度も紹介してきましたが、
もう2年前から
「ドクターハラスメント=患者いじめ」の撲滅を提唱し、
「ドクハラ=毒腹」というキーワードを世に問うている
勇気ある医師です。
いまやテレビや新聞でも盛んに取り上げられています。
さて、この対談の骨子は、
大学病院の人事権を握る「医局制度=教授制度」にあり…と
指摘されているところでしょう。

永井さんは「僕が医師をやめた理由」という著者ですが、
漫画「医龍」(チーム・メディカル・ドラゴン)の
原作者としても有名です。
この中でも「バカ殿が君臨する封建社会」として、
厳しく大学病院のあり方を批判していますが、
「最高権力者である教授になるためには、
患者さんをいかに治すかということより、
臨床の基礎研究のような論文が優先されて、
それがなければ出世できないという構造になっています」
と内実をズバリ語っています。

ガン病棟に入院したり、看護に行った人なら
大抵は経験していることでしょうが、
心無い医師の暴言、3分間治療、説明不足、
医療過誤に泣いた裏には
こうした仕組みが隠れているようなのです。

土屋医師は癌研病院で16年間、ガン手術を担当してきた、
いわば「ブラックジャック=執刀名医」でしたが、
この「腐った大学病院システム」に気づき、
いまはキャンサーフリートピアという患者本位の
トータルケア相談の仕事に転進しています。
「大学病院なら安心という考え方は幻想です」
この対談でもズバリズバリと指摘しております。


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2003年7月3日(木)

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