元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第447回
「胃ガン」の治療ポイント

もし胃ガンと宣告されたら、
大学病院ではどんな治療が待ち構えているのか?
胃ガンの標準治療と選択法について続けましょう。

【胃ガンの種類】
胃ガンを胃壁への浸潤度で分類すると、
大きく早期ガンと進行ガンに分けられます。
胃壁はいくつもの層が重なった構造で、
表面から、粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、
固有筋層、漿膜下層、漿膜と続いています。
胃壁のどの層にまで達しているかによって
大きく分けると、
ガンが粘膜下層までにとどまっているのがI期(a)の早期ガン、
固有筋層より下まで広がり、
リンパや他臓器に転移しているのが
I期(b)、II期、III期の進行ガンということになります。
リンパや他臓器に遠隔転移した進行ガンは
第IV期に位置付けられます。

【胃ガンの検査】
X線、CTによる検査。
そして内視鏡検査で疑わしい部分の組織を取って
顕微鏡による病理組織検査。
胃ガンであるとわかったら、
どのくらいの深さまで浸潤しているかを調べます。
浸潤については超音波内視鏡も。
さらに補助検査として腫瘍マーカー検査が行われます。

【胃ガンの主な治療】
0期・I期(a)――リンパ節郭清を伴う外科手術か内視鏡手術。
I期(b)・II期・III期――リンパ節転移の場合は開腹手術。
術前術後に放射線治療のケースも。
手術不能な場合は抗ガン剤や放射線治療。
IV期――可能な場合は手術だが、
対処療法、緩和療法となるケースが多い。

【治療のポイント】
胃ガンは抗ガン剤や放射線が効きにくいため、
いまのところ残念ながら根治治療は手術となります。
ただし粘膜内ガンであれば内視鏡的切除でも十分です。
早期発見が大切なわけですが、
進行ガンの場合でもQOL(命の質)を守るためにできるだけ
拡大手術は避けましょう。
たとえば、胃を全摘出してしまうと、
患者さんは術後、10キロは体重が減少し、元に戻りません。
またビタミンB12欠乏性の貧血となります。

もう一つ、問題はリンパ節の拡大郭清手術です。
これに熟達した医者は少ないですし、
表向き公表される治療成績とは裏腹に
術後管理の不安が残ります
(詳しくは『このガン切るべきか、切らざるべきか』を参照)。
したがって、もっともダメージの少ない切り取り方の選択が
ベストだと思います。
ただし、そう判断した場合は、
大病院には拡大手術路線の医者の方が圧倒的に多いわけですから、
セカンドオピニオンはフリーな立場の医者などに
相談した方がよいと思います。

※緩和医療とは、病気や治療に伴う様々な症状を和らげ、
  日常生活をサポートするための医療。
  痛み、吐き気、食欲不振、息苦しさなど
  症状の緩和から、精神的ケまでを含みます。
  狭い意味では「余命の少ないガン患者さんの
  苦痛を和らげるための医療」とされ、
  「ターミナルケア(終末期医療)」とほぼ同じ意味で
  用いられます。


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