元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第555回
「切らない患者」同士の再会

十二指腸ガンを「切らずに治して」10年という、
同輩・加藤さんの闘病記の続きです。

大手の航空会社に勤めていた加藤さんは、
広報宣伝関係の部署にいた辣腕幹部で、
僕は編集長時代から、仕事でもゴルフでも、
毎週のように親しく付き合っていた仲でした。
もちろん夜の大酒の飲みの悪友でもありました。

たしかに10年数年前のことでした。
その加藤さんが
「ぼく、1週間ほど、九州の温泉で療養してくるよ」
といって突然、姿を消したことがありました。
美食暴飲による痛風が悪化して、
治療に出かけたわけです。
大分の臼杵に六ヶ迫(ろっかさこ)という鉱泉があって、
この涌き水を毎日、一升瓶2本飲んで、
腸に溜まった老廃物をどっと尻から流し出す療法です。
とうとう4日目に真っ黒い宿便が出て、
痛風を治したそうです。
こうした伝統療法の体験と自信が、
のちにガンになったときに、
加藤さんに「惨い手術はやめよう」という
決心をもたらしたのかも知れません。

その後、加藤さんは系列のホテルの支配人に転職したために、
疎遠になっていたのですが、
ある日、風の便りに
「加藤さんがガンを切らずに治した」らしいという話は聞いて、
「ガンを切らずに治した」僕としては、
気になって気になって仕方がなかったわけです。

そして、先日、10年ぶりに再会したのです。
まさに「切らない患者」の再会でした。
加藤さんは若い頃から額の禿げ上がった精力的な人でしたので、
仲間内では「若ハゲ」の武彦さんと呼ばれていたのですが、
もうつるっハゲかと思いきや、
昔より回りの髪がふさふさ黒々としているではないですか?
顔色もツヤツヤしてとても65歳のガン患者とは思えません。

「じつはね。10年前に会社の定期検診で引っかかってね。
 千葉のがんセンターで
 十二指腸ガンだと診断されて、
 猛烈にショックを受けたのです。
 外科医から切れば治るといわれて、
 即、手術を言い渡されたのですが、
 何が幸運かわかりませんね。
 たまたま病室が一杯で入院を10日後に回されたんです」

加藤さんの十二指腸ガンは幽門の脇に出来ていて、
内視鏡手術は無理、
十二指腸を切って残りを小腸に繋げるという荒治療です。
肝臓や膵臓には転移していないようでしたが、
なんとか「切らずに治せないか」と、
気落ちしながらも、
帰り道に駅で夕刊紙を買って眺めていると、
プロポリスの広告が目に飛び込んできたというのですね。
「入院までガンが消えるように祈って、
 藁にもすがる思いで、
 毎日、朝昼晩と飲みまくった」そうです。


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