元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第567回
増える! 食道ガン

「切るべきか? 切らざるべきか?」
先日、また60歳の食道ガンの患者さんから
相談の電話が参りました。
本当に、定年前後というのは、
サラリーマンの“勤続疲労”が
どっと噴出する年頃なのですね。

働き詰め、そして、連日連夜の暴飲暴食、ストレス、
そして喫煙――この3悪が体に累積された結果、
潜んでいたガンが塊となって暴発。
命に警告を発するわけです。

というわけで、この患者のKさんも
僕の本や土屋医師、帯津医師の本を貪り読んで、
食道ガンを「切るべきか? 切らざるべきか?」
悩んだ末に相談に来たわけです。
まえにも書きましたが、
食道ガンの手術とは、
健常者から見れば、ただの食物を運ぶ管ですから、
腫瘍の出来た部分を
チョキンと切れば簡単に手術が終わると
勘違いしがちです。

しかし、よく胸に手を当てて考えて見てください。
食道ガンは背骨にそって
喉から胃に至る約40センチの消化管ですが、
もしここを切るとなると、
肋骨を2〜3本へし折らないと
出来ない部署についているわけです。
おまけに、食道の膜は1〜1.5ミリほどの
薄いものですから、
部分切除をしても、
細長い風船を途中で切断したように、
上下に縮んでしまって繋がらないのです。

というわけで、食道ガンの手術とは、
喉、胸、腹の3箇所を、
いわば“3枚おろし”にするという
じつに荒技の手術となります。
手術は10時間、いや15時間ほど掛かります。
術後も合併症の危険が多々あります。
ところが、外科医はこうした高度の手術は
なんとしても試して見たいわけでしょう。
よほど、患者が知識を得ておいて、
しつこく質問しないと、
食道ガンが膵臓ガンに続いて難しい手術だとは、
詳しく解説してくれないのです。
大抵が「簡単に済みます」と言うわけです。


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