元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第723回
まず医師の「治療成績」を公開せよ

手術、抗ガン剤、放射線といった
標準治療以外の治療を止めれば
「病院の治療情報公開」は簡単だ――とする
NHKの番組が取り上げた「医師の論理」は
おかしいという僕の考え方の続きです。

たしかにいまの医療制度では、
EBM(科学的根拠に基づいた標準治療)が
採用されているわけで、
医師の論理だけからいえば、
狭く狭く西洋医学の手法に治療を絞ってしまえば、
「客観的な治療成績」が単純データとして
出しやすいという理屈になります。
というわけで、
残念ながら、日本を代表するメディアの医療改革番組も
情報公開は
「医師のためではなく、患者のためになされるべき」
という本質を見失ってしまったようでした。

ガン治療ひとつ考えても、
この医師の論理には落とし穴があります。
僕と土屋医師が近刊
「ガン治療入門」で提案したように、
患者に待たれているのは、
医師の治療を数値で出すためのEBM治療ではなく、
患者の病気を「命 こころ 体」の全体で捉える
HBM(人間本位)治療なのですね。

医師は神様? この発想は傲慢です。
一般企業では「消費者は神様」、いや
消費者に被害を与えた経営者や
担当者は間違いなく制裁されます。
医師だけが特権階級ではありません。
医師とて、医師免許を賭しても
救命事業を完遂する覚悟で、
この救命事業を志願したはずです。
治療情報公開の改革は、
まずなにはさておき、
現場の医師が自主的に「治療成績」を情報公開する――
ここからスタートすべきなのです。

そして、もしあなたがガンの手術を宣告されたら、
「先生はなんど手術に失敗しましたか?」と
聞くべき時代を迎えているのです。


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