元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第744回
宮沢賢治をどう思いますか?

突然、作家の山口泉さんから、
「宮澤賢治伝説・・ガス室のなかの『希望』へ」
(河出書房新社)という
分厚い評論集が届いた話の続きです。

読み進んでいくうちにわかったのですが、
なぜ、山口さんが昨年のスローヘルス研究会の合宿
突然、参加を申し込んできたかというと、
ちょうど、この評論大作を仕上げるために、
宮沢賢治の故郷を探訪旅行している最中だったわけです。
文中、175ページにその経緯と僕のことが
数行書き加えられています。

それはともあれ、
この評論集はといいますと、
宮沢賢治の世界礼賛とは、
まったく反対の視点から
鋭くえぐられた本なのです。
「宮沢賢治の過ちは脱政治性にあり」
「“銀河鉄道の夜”は比類なくおぞましい法話だ」
とするのですから、
メルヘン・宮沢ファンにならびっくりするかも知れません。

読み始めて、僕も驚きましたが、
差別、飢餓、戦争、死・・・という
現実社会の構造に目をつぶった姿勢を、
あらゆる時代状況から執拗に展開しているのです。
同時代の石川啄木と比べるばかりか、
1933年、特高の拷問に死んだ、
作家の小林多喜二と同じ年に、
宮沢賢治も死ぬのですが、
「宗教詩“雨にも負けず”の狡さと危うさ」
と題した部分は圧巻です。

昔、「一点突破、全面展開」という論法が
流行ったことがありますが、
山口さんの筆法は、
戦前の韓国人差別、ナチス収容所、
そして、いまのブッシュ批判まで、
まさに宮澤賢治論”の「集大成」を基点として、
地球に巻き起こっている新たなるファシズムの構造を
一気にえぐった、
21世紀劈頭の警鐘メッセージなのです。
決して、絶望に終わらせないところが
山口さんらしい作品です。
「息絶える瞬間まで、生の光源として“希望”はある」
と締めくくっています。

ちょっと、歯ごたえのある評論エッセイでありますから、
じっくり構えないと読みこなせないかもしれませんが、
週末や連休の時にお奨めの一冊です。
ちなみに山口さんのホームページは以下です。
「魂の連邦共和国へ向けて」――
http://www.jca.apc.org/~izm/


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