元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第789回
自力排泄、自力入浴・・・

痴呆介護のあり方を問うた本、
「グループホーム・ケア」で紹介された、
宅老所「和笑庵」では、
どんな「血の通った」「生きる勇気」をもたらす
キュア&ケアがなされているのでしょうか?

この本を読めば、痴呆介護の大変さを感じるだけでなく、
「痴呆は死への階段だ」
「みっともない死に方だ」といった人生論エッセイが
いかに軽薄で浅はかであるか?
それが身にしみて分かります。
なんとしても生きることの家庭的な温かさと
明るい可能性を秘めていることに驚くはずです。

この宅老所のモットーは
「ほっとケア」にあるというのです。
もちろん、漫然と“放っておく”のではなく、
「温かく見守りながら放っておく」――これが介護のキモです。

マニュアル的に『しなければならないケア』ではなく、
一人ひとりに対応した、
『なにがあってもいいよね』と
一人ひとりを受け入れ見守ること――
これが宅老所「和笑庵」のモットーであり、
和笑庵の家族の一員として暮らすことが、
「生きる勇気」だというわけです。

痴呆や老化による
身体機能の低下を防ぐためも、
日常生活の中で身体を動かすようなキュア&ケアが
積極的にすすめられます。
食事は箸の使用を心がけ、
お茶を飲むときも、
すし屋で使うような重いもので、
取っ手のない“茶碗”を使うといいいます。
排泄の定期的な誘導もなし。
浴室とトイレを除いて手すりもなし。
起つ、座るということができるということは、
自力入浴・自力排泄が可能と考えているからです。

手すりを使いながら、ほとんど自力で湯船につかるなどなど。
洋服も自分で着替えさせます。
身体機能の低下を防ぐため生活の中で体を動かす。
主宰者の若林顯恵さんをはじめスタッフの声は大きいそうです――
これが和笑庵での「生活リハビリ」。
機械を使ってリハビリするのではなく、
生活行為がリハビリになり、
残存機能を生かしていくというのです。

どうです?
すばらしく「生きる勇気」をもたらす
人間らしいキュア&ケアの発想だと思いませんか?
決して「ボケ」は「無様な死への階段」ではないのです。
もちろん、僕からいわせれば
「ガン」も「かわいそうな不治の病」ではないのです。

僕の主治医の帯津医師はよくこういいます。
「人間はさびしくて孤独なものだ。
でも、あきらめないことから、
また希望に満ちた人生を再設計できるものなのです」と。

ちなみに、NPO法人「和笑庵」について詳しく知りたい人は、
以下のホームページを覗いて見てください。
http://www.washoan.com/index.htm


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2004年10月24日(日)

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