元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第801回
人工肛門って大丈夫?

大腸カルチノイドというやっかいな腫瘍を抱えた、
僕の親友の奥さんは、
夫や子供たちと手分けして、
なんとか「切らずに治す」「人工肛門にならない」
治療法と専門の医師を、しつこく、しつこく捜し求めました。

ところで、人工肛門(ストーマ)
どんなものでしょうか?
腹壁に穴をあけ、
引き出した腸の一部に特殊な装具を張り、
そこに「パウチ」とよばれる集便袋を
取り付けて排便する仕組みをつくるものです。
詳しく知りたい人は、
僕と土屋繁裕医師の共著
「医者と患者でつくったガン治療入門」(NTT出版)の
110ページに図解入りで解説してありますので参考にしてください。

その土屋医師に聞いても、
「最近は人工肛門も
患者のQOL(いのちの質)を考えて、
防臭性の素材が使われたり、
皮膚への刺激が少ない皮膚保護剤が開発されるなど、
工夫されています」といいます。
ただ、ストーマには括約筋や便意を支配する神経がないので、
ガスの放出、便の排出は
いつあるかわからないといった不便さはぬぐえませんから、
大腸カルチノイドと診断され、
手術を勧められても、
僕の親友の奥さんはどうしても
「切らずに治す」治療法を探しまくったわけです。

ポリープや、ガンが、大腸カルチノイドのように
粘膜下層に浸潤している場合でも、
ごく浅い部分にとどまっていれば、
内視鏡手術が可能ですから、
先端からスネアーとよばれる
細い針金状の輪を伸ばし、
この輪をポリープや腫瘍の突起部分にひっかけ、
スネアーに高周波電流を流して切り取ることも可能です。

また、肛門に近い大腸の腫瘍手術でも
手術器具の進歩で肛門括約筋温存術が可能になり、
人工肛門を必要とするケースが激減しました。
直腸ガンのうち約70%で、
この手術法がとられているといいます。

ですから、あきらめずに治療法と専門の医師を探せば、
むやみと「人工肛門」を選ばなくてもよいことになります。
この奥さんは一生懸命探しまくった末に、
ダメージの少ない、治療法と医師に出会いました。


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2004年11月5日(金)

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