元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第836回
乳ガン手術後の抗ガン剤について

「賢い抗ガン剤対処法」と
「激しい副作用の対処法」の話をもう少し続けましょう。

I期やII期の固形ガンの場合、
治療の第一選択肢は手術になります。
では、術後はどういう治療をするかといいますと、
大抵の場合、また抗ガン剤の登場です。
手術で完全にガン細胞を
取り除いたつもりでも
肉眼で確認しきれないガンが残っていると、
生き延びたガン細胞は
成長して再発の原因になります。

こうした、顕微鏡レベルでしか確認できない
ガン細胞の再発を未然に防ぎ、
根絶するために行なう治療を
「補助療法」といい、
補助療法に抗ガン剤を用いる場合を
「補助化学療法」といいます。

しかし抗ガン剤を使う以上、
副作用は避けられません。
問題は、抗ガン剤を使うだけの
価値があるかどうかです。
補助化学療法の効果がなければ、
抗ガン剤は患者さんの体を
傷めつけるだけの結果に終わってしまいます。

胃癌治療ガイドライン(日本胃癌学会編)では、
胃ガンのI期、II期の
A、Bにおける術後補助化学療法について
「現時点では、
 推奨すべき術後補助化学療法はない」とされています。

そうした中で、乳ガンの場合は
補助化学療法が効果的なガンとして知られています。
乳ガンの治療は現在では
乳房温存手術が主流になっています。
もちろん腫瘍ができた位置によっては
乳房を切除しなければなりませんが、
今は乳房再建手術によって失われた乳房を
他の場所の筋肉や人工物によって
形成することができるようになったため、
乳房はできるだけ小さく切り取るようにしています。

術後は抗ガン剤による補助化学療法
あるいはホルモン剤による補助ホルモン療法を行い、
再発防止を目指します。
補助化学療法の中でも国際的に認知されている
最も標準的な治療法は、
アルキル化剤のサイクロフォスファマイド(C)、
代謝拮抗剤のメソトレキセート(M)、
代謝拮抗剤のフルオロウラシル(F)という
3種類の抗ガン剤を併用するCMF療法で、
ある一定の患者さんでは
全身再発率と死亡率を20〜30%低下させることが
証明されています。
CMF療法による副作用としては、

吐き気、嘔吐、食欲不振、感染、脱毛などがありますが、
治療終了後には元に戻ります。
ガン細胞の中には
女性ホルモンを栄養にして成長するものがあるため、
CMF療法終了後に女性ホルモンの中和剤を
2年から5年間使用する場合もあります。


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2004年12月10日(金)

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