元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第988回
「ドクハラ」を知らない医師たち

4月末に開かれた「スローヘルス研究会」の
春の談話会の話の続きです

当日の土屋繁裕医師のスピーチでは、
「大学病院から講師を頼まれて、
 現場で忙しい医師が
 専門外の新しい治療について勉強しよう、
 患者の対応の仕方を学ぼう・・・
 こうした傾向は喜ばしいもの」だが、
その医師たちが予想以上に勉強不足であるというのに
いささか呆れたというのですね。

「僕が再発ガン、転移ガン、
 そして、余命あと半年などといわれ、
 手の施しようがないといわれた患者さんたちに進めている
 『イレッサの少量投与法』や『自己ワクチン免疫療法』
 などについて説明しても、
 ほとんどの医師が、手術の通用しない患者には、
 強い抗ガン剤の治験薬を
 使うくらいしか教わっていないのですね。
 『少量投与って何?』『自己ワクチン?』と、
 まったく専門外の治療や、
 欧米の最新療法について知識がないみたいなのです。
 これでは、再発ガン、転移ガンと診断された患者さんは、
 ただただオロオロするばかりとなりますね」

現場の医師たちも、
時間と治療ノルマに追われて、
新しい治療法の海外文献を読んだり、
研究会に出たりする時間がないのかもしれませんが、
そればかりか、
いま、新聞やテレビでも指弾されている、
医療過誤、さらに患者との対応といった
医療マナーについても
ほとんど無知だと感じたというのです。

「とくにガンという複雑な要因の病気は、
 薬や手術もさることながら、
 医師と患者の共同作業というか、
 信頼関係が大切なわけで、
 僕が、ドクハラ=ドクターハラスメントがいかに
 患者の心身を傷つけ、
 これが治癒力を減退させるかについて話しても、
 『ドクハラって何?』って、
 これだけ話題になり、問題になった、
 医師のあり方を問う
 キーワードすら聞いたことも、
 読んだこともないという医師や教授が
 何人もいるのですね」

昔、大学病院が、患者無視の「白い巨塔」と
指弾されたことがありますが、
いまだに「世間の常識は大学病院の非常識」という実態が
続いていることになります。

日本では毎年、30万人以上の人たちが
ガンで命を落とし、
すでに300万人以上の人たちが、
担ガン者=ガン体験者として、
再発や転移におびえているというのが実態ですから、
医師も旧来の医療マニュアルに安穏とするのではなく、
もう少し、大学病院の教授や医師たちも、
勉強し、現場の治療に生かすべきだ・・・
というのが、この日のスローヘルス研究会での
土屋医師の報告でした。


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2005年5月11日(水)

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