元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1052回
続「中国株と元切り上げ」に一言

最近の中国株のおかしな動きを見ていると
いよいよ元切り上げも時間の問題である――、
そうした話の続きです

個々の有力銘柄の乱高下については、
非流通株の開放の影響であるとか、
原油高の影響であるとか、
いろいろ穿った分析が流れていますが、
もちろん、そうした原因があるでしょう。
株配銘柄などは、毎年の権利落ショックで、
株価が暴落したものもあります。
しかし、いま注目すべき、
中国株式市場の現場の大きな流れは、
すべて元高シフトへ傾いていると見てよいでしょう。

繰り返しますが、人民元の切り上げは、
マスコミで騒がれているような、
ただ諸外国からの「貿易摩擦批判」
「世界のデフレ元凶批判」に屈して
起こるわけではありません。
元切り上げとは、
中国自体が矛盾・難題を乗り越えるために選ぶ、
「あくなき富国政策」といいますか、
「経済エゴイズム」の結果と見るべきだと思います。

日本のマスコミが報道する以上に、
中国という国の「ゼニ勘定」には、
したたかな体質は、みなさんもご存知のとおりです。
「マクロ経済の安定」と「雇用の維持」という
一挙両得の経済進展を図るには、
まだまだ大きな矛盾、
とくに金融システムの脆弱性を抱える中国経済ですから、
まず「管理変動制」を採用し、
次に段階的に本格的な「変動相場制」を目指す、
という見方は正解だと思います。

中国の経済進展には
矛盾要素がまだまだたくさんありますが、
このまま、ドルペッグ制による
人民元の固定化を続ければ、
それこそ、中国経済はバブルになって崩壊しかねない、
いや、むしろ、人民元切り上げは、
「中国にとってメリット」だと判断する――、
さらに近年、ドル買い支えで
通貨供給量も銀行貸し出しも
20%以上増えたために
資金が不動産投資や設備投資に回って経済が過熱。
バブルが崩壊すれば銀行は
再び巨額の不良債権を抱えかねない、
金融政策の独立性を回復するためにも
元切り上げや変動幅の拡大は
避けられないと判断している――
ようするに、元切り上げ問題は
巷間いわれるような「面子」ではなく「本音」なのです。

外貨準備高ひとつを見ても分かることでしょう。
トップの日本に迫る
「8000億ドルの金ぶくれ体質」ですから、
固定為替制のままでは、
その大半が米国債の購入などにただ投入されるだけで、
中国国内市場の活性化に還流できない――、
このジレンマに嫌気がさしたのは、
米国ではなく、
むしろ中国政府自身といったらよいでしょう。

ですから、個人投資家も中長期の戦略はもちろんですが、
短期的にも銘柄の組み換えの戦術が必要でしょう。
脆弱な体質が問われている上海B株をどう整理するか?
インフラ産業の多い香港H株や深センB株の
内需関連株、輸入資源株にどの程度組み替えるか?
いよいよ、中国株投資の正念場だと、
日本経済の30年前を思い出しながら、
僕は楽しみにしているわけです。


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2005年7月14日(木)

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