元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1079回
地域や病院の格差が大きい!

「患者の3割以上が医療苦情の泣き寝入り」
また、
「地方に行けばいくほど
 とくにガン医療施設の対応が、遅れている」――
という話の続きです

さて、いま起こっている
医療問題の大きな原因のひとつが、
「地域や病院間の格差」であり、
「日本全国の医療水準の平準化が緊急の課題だ」
と指摘するのは、
週刊金曜日で「多重がんに見舞われて」という
長期連載を続けている、
同誌の社長・黒川宣之さんです。
(「週刊金曜日」7月8日号)

このレポートにも書かれていますが、
全国どこでも質の高いガン治療が受けられるように
「地域がん診療拠点病院」が
厚生労働省で指定されているわけですが、
わずか全国に135病院というのです。

「まだ、1つもない府県が、
 秋田、山梨、長野、兵庫、広島、鹿児島の七つ、
 1つだけが、山形、岩手、栃木、
 新潟、富山、石川、奈良、和歌山、
 徳島、高知、佐賀、熊本の12県と、
 整備に差がある」

その「地域がん診療拠点病院」の中で、
治療成績を病院の実名で公表しているのは
大阪府のみというのが現状なのですね。

全国にある病院がどんな治療成績を公表しているか?
朝日新聞社も、以下のような
アンケート結果を掲載していました。

「5年生存率(手術から5年後に存命している割合)を
 インターネット上で
 五つのがん(肺、胃、肝、大腸、乳ガン)
 すべてで公表している病院は10、
 一部のがんについて公表している病院は
 16にとどまり、
 3分の2近くが全く公表していなかった」と。

ちなみに、
「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会・報告書」が
平成17年4月に厚生労働省から出て、
拠点病院制度の見直しや、
専門医などの養成など、
抽象的な対応策について書き連ねていますが、
とてもとても現実との乖離は大きいのです。

こうした記事を読むに付け、
ガンの患者と家族は「自らのみは自らで守る」――、
よく言われる言葉ですが、
「患者が主治医」という
キーワードをしたたかに噛みしめて、
病院選び、医師選び、
治療選択を、賢く工夫していかねばなりません。

ところで、インターネットで
肺、胃、肝、大腸、乳ガンの5年生存率を
公表している病院は以下です。

大阪府立成人病センター、埼玉県立がんセンター、
武蔵野赤十字病院、日本医科大付属多摩永山病院、
静岡県立総合病院、愛知県がんセンター、
鳥取県立厚生病院、高知中央病院、
国立病院機構九州がんセンター、麻生飯塚病院


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2005年8月10日(水)

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