元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1095回
分かりやすい「統合健康読本」

週末を有効利用した
「体の浄化法」を試してみれば、
「ブルーマンデー症候群=月曜病」の悩みが解消できる――、
病院の薬より役に立つ
健康の知恵、自然食の知恵がたっぷり詰まった本、
「48時間浄化法」
(スージー・グラント著、藤野邦夫・訳 風雲舎)
話の続きです

食養生の本や自然食の本というと、
やたら東洋医学の「陰陽」だの、
「扶正邪」といった難解用語を使いまくって、
いまひとつ、科学性、立証性の
説得力がないものが多いのですが、
「なぜ、バランスのよい食事がよいのか?」
「なぜ免疫力を高めるべきなのか?」といった
生活習慣改善についての素朴な疑問を、
この本は、じつに分かりやすく
科学的に説き起こしているのが特徴です。
かといって、
多くの免疫学の医師や栄養学の学者の本のように
難解な専門用語を濫用して、
読者の頭を混乱させることもありません。

たとえば、食養生の本などではよく
「体を酸化させる食品、
 つまり体をサビさせる食事は避けるべきだ」
と書いてありますが、
この本では
「健康な体はアルカリ性70%、
 酸性30%のバランスだから、
 酸性度の高い、砂糖、チーズ、肉などは
 危険な食品は控えよう」と解説します。
また「ガンは熱に弱い、体は冷やしてはいけない」などと
養生本には書いてありますが、
「インターロイキンといった
 ウイルスやガンと闘う免疫細胞が
 体温を上げて病原の増殖を防ぐ」
と平易に解説してくれます。

よく、僕は食養生の秘訣は
「食べるより出す」だと力説していますが、
この本でも
「目、鼻、耳、舌、口、皮膚、結腸、子宮、腎臓」の
“体の排出口”の重要性をせつせつと説いています。
健康に大切なのは「浄化」=「排毒、解毒」というわけです。
ここが、この本のキモ(ポイント)です。

ちなみに、著者のスージー・グラントさんは
ストレスの多い、TVジャーナリストの30代の頃、
大酒飲みでチェーンスモーカーだったそうですが、
母親の死をきっかけに食生活を改善して健康を回復。
以後、栄養学のセラピストとしてロンドンで活躍中です。

また、訳者の藤野邦夫さんは、
若き日の美食美酒の生活が祟ったのか、
2年前に前立腺ガンを患ったのですが、
ブラキセラピー(放射線の小線源療法)という
最新療法で見事に克服。
いま元気に執筆活動を続けている人です。

まさに、身を挺した生活改善によって健康を掴み、
心身の免疫バランスの大切さを実感する、
日英のコンビが作った本となりましたから、
情報に鋭敏なジャーナリストならではの
「健康読本」いや「統合健康読本」といった出来栄えです。
ぜひ、一読をお奨めします。

これからは
西洋医学と中国医学の長所を組み合わせた統合医学が、
とくにガンのような慢性難病には必要な時代です。
医師や業者サイドからの医療革命の掛け声だけでなく、
この本のように、より平易に、
より科学的に患者に向けて解説する書物や情報機関が
もっともっとたくさん登場してくることが、
難病患者を救う――、
これからの「ガン情報戦」の課題だと
僕は痛感しております。


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2005年8月26日(金)

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