元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1324回
患者の味方=「月光仮面」とは

僕たちスローヘルス研究会が編集した
「いのちの手帖」という雑誌は、
おそらく日本で始めての患者学的治療学読本、
いや患者学的処世学の雑誌だ――、という話の続きです。
前回書きましたが、
患者のための「いのちの広場」を作るには、
患者だけでなく、家族、そして心ある医師との
信頼関係が欠かせません。
では、心ある医師、患者が信頼できる医師とは
どんなタイプの医師でしょうか?
もちろん、医療技術に長けていることは基本条件ですが、
「患者の寂しさがわかる」医師こそ、
「患者の家」=病院にふさわしい医師だと思います。

(3) 患者の味方=「月光仮面」のような医師を持とう

僕たち「スローヘルスの会」は、
さまざまに複雑な症状を持つガン患者の集まりですが、
幸いにも、からだの治療だけでなく、
「からだ(身体性)、こころ(精神性)、いのち(霊性)」という
人間丸ごとの調和を診る、
ホリスティックな考え方の医師に恵まれました。

ひとりが、「いのちの手帖」の監修者でもあり、
日本ホリスティック医学協会会長の帯津良一博士です。
理論、実践ともに、この画期的な医学の日本の草分けというだけでなく、
その人間的な魅力に満ちた医師です。
帯津医師に会ったり、診察を受けた経験のある人なら、
誰でもが実感するはずですが、
じつに「患者の寂しさ」をわかって、
治療相談にのってくれる笑顔が「仏様」のような医師なのです。
患者さんの中には、先生に会うだけで
「気分が良くなる」という人さえいます。

この帯津医師を「笑顔の抗ガン剤」とすれば、
僕は「喋る抗ガン剤」ですよと、ジョークを飛ばしたのは、
「僕はガン患者の弁護士です。代理人です」として、
キャンサーフリートピアhttp://cftopia.com/という、
ガンの治療相談所を開いていた土屋繁裕医師です。

こうして、患者、家族、医師の信頼の広場としての
スローヘルス研究会は、
じつに柔軟で幅の広い考えに満ちた、
ホリスティックな医師に恵まれたために、
患者は、身も心も、いのち丸ごと、じっくりと考える
しなやかな「いのちの広場」を作ることが出来るようになったのです。
また、そのいのちの輪を広げるメディアとして、
「いのちの手帖」を発刊するところまでこぎつけたわけです。
もう少し分かりやすく、漫画チックに言わせて貰いますと、
誰にも相談できない、誰にも頼れない患者にとって、
まさにエネルギーに溢れる「正義の味方」を得たことになります。
ちなみに、帯津良一医師を「信頼の観音様」とすれば、
土屋繁裕医師は「ブラックジャック」であり
「月光仮面」のような人でした。

土屋医師は16年間、癌研病院で
700人近い患者を執刀してきたベテラン外科医ですが、
西洋医学から代替療法まで、
最新治療の応用には人一倍熱心な医師で、
まさに患者の質問に速射砲のように答える、
話術のおもしろい人情派の医師であり、実践派の人でしたから
スローヘルス研究会メンバーから多くの信頼を集めていました。

ところが、物事はそうそううまくは運びませんでした。
残念なことに、この土屋先生が、昨年10月、過労のために
くも膜下出血で急逝されてしまったのです。
ガン患者の「代理人」という正義の味方を失って、
僕たちはハンマーで頭を打ち砕かれるような衝撃を受けました。
しかし、多くの患者が待望した「ガン患者の代理人制度」という
土屋医師の信念が、次なる医師たちによって受け継がれたのです。


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2006年4月12日(水)

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