元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1333回
「不老」と「遅老」

いま流行の【アンチエージング】(抗加齢学)、
つまり“スローエージング”にも似ているようですが、
スローヘルスは、死を乗り越える「死生観」にも踏み込む、
養生法であり、患者学ですから、
この長寿難病時代には、
よりぴったりの「スロー志向だ」と考えて、
理解していただくとよろしい――という話の続きです。

アンチエージング医学とはどんな学問なのか?
もう少し考えて見ましょう。
Agingとは「老化」「加齢」のこと。
つまり「アンチ・エージング」は、
「老化・加齢に対抗する」という意味です。
端的にいいますと、
●予防=病気にならない
●不老=歳をとらない
●不死=死なない・・・
東洋の不老不死の哲学を、
最先端の医学で実現しようという、あたらしい学問です。
加齢の正体はまだまだ謎ですが、いろいろ仮説が挙げられます。
●体が錆びるフリーラジカル説
●細胞分裂が止まるテロメア説や遺伝子エラー説、
●免疫力低下説やホルモン低下説
美肌、関節症の予防のコラーゲンや
体を錆びつかせないコエンザイムといった
不老?のサプリメントが持て囃される所以です。

しかし、いのちとは、
このコラムでも何度も書いておりますように
複雑怪奇、ひとつの学説やひとつの治療法で治したり、
解決できるものではありません。
加齢にしても、こうした原因説が複合して、起こるわけですから、
ただ一方的な情報に惑わされるのではなく、
患者ばかりか、家族ひとりひとりがもつ、
しなやかな生命観=スローヘルス患者学が
ますます大切になってきているわけです。

ちなみに、アメリカではアンチ・エイジング医学)の研究が盛んで、
1993年にスタートした米国抗加齢学会
(A4M: American Academy of Anti-Aging Medicine)の
主要ドクターたちが来日。
6月16日〜18日、東京・お台場の
ホテルグランパシフィックメディリアンで
第1回アンチエージング国際シンポジウムが開かれること、
また、この主催者は、スローヘルス研究会のメンバーでもある、
角野真一さん(AARI会長)であることは
前にも紹介しました。※1
さて、僕の個人的見解ですが、
アンチエージングにしてもスローヘルスにしても、
「元気に長生き」というライフスタイルに
前向きに取り組む研究学ですが、
とくにガンのような難病患者のみなさんには、
スローヘルス患者学を身につけたほうがよろしいと考えています。
アンチエージングが健康人中心の「不老」の希望学、
スローヘルスの発想は
患者のための「延老」いや「遅老」の延命学に、
重心をおいているからです。

季刊「いのちの手帖」に「多重ガンに見舞われて」という
エッセイを寄稿していただいた
黒川宣之さん(前「週刊金曜日」発行人)が、
その著書で、ガンに克つヒケツは
「なるべく遅く罹ることだ」といった意味合いのことを
しみじみと語っておられます。
また、心臓のバイパス手術を克服して11年、
僕の敬愛する作家・三木卓さんは、
著書「生還の記」に病後、体調不良があっても心配することはない、
年齢も重ねていくわけだから、前にもどるわけがない、
目下、元気だと思えば、依然と生きていることが楽しくなる・・・
といったことを書いておられます。

というわけで、元気に長生きするためには、
「不老」の希望も大切にしよう、
「遅老」の発想も忘れないようにしよう――と、
僕も、スローヘルス研究会の患者仲間や
家族のみなさんといつもトキメイている=
“生命の躍動”を実感しようと愉しんでいることになります。


※1 http://www.aiset2006.jp/index.html


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2006年4月21日(金)

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