元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1425回
患者は壊れた「機械」にあらず

スローヘルス研究会は、ガンは治療の問題としてだけでなく、
人生学として処世学として、
そして、まさに哲学として考えるために、
その理論と実践について研究している、
患者と家族、そして医療関係者、
ジャーナリストが集まって研究、研修している、
おそらく本邦初のガン患者組織だ――、

スローヘルス患者学がよって立つ理論は
ホリスティック医学であり、
そのホリスティック医学のさらなる基本発想は、
哲学はもとより、政治経済学や教育学の分野でも
いま見直されている――
ガン患者は壊れた機械にあらず・・・と主張する所以が
ここにある――、という話の続きです。
6月の開かれたガン市民講座で、
僕は話をしたホリスティック発想学の
根本理論の講演内容から抜粋します。

        *

たとえば、ホリスティック医学の源である・・・
●「全体論(ホーリズム)」の発想は、
1926年「ホーリズムと進化」という著書で、
南アフリカの思想家・ジャン・スマッツが提唱しました。
物事を機械論(アトミズム)や
合理論(プラグマティズム)ではなく、
全体のつながりから見れば
「より創造的な未来が見えてくる」という考え方で、
政治経済学や教育学にも
ホリスティックな発想が見直されつつあります。

●また、20世紀、フランスの偉大なる哲学者・
アンリ・ベルグソンは、いのちの根源は、
大きな精神的エネルギー=根源的超意識の流れの中にあり、
「創造的進化」という著書の中で、
そのエネルギーの発揚を
「エラン・ビタール(生命の躍動)」と名づけました。

Elan Vital【エラン ビタール】とは、
「創造的進化を促す大きなエネルギー」
「より完全な生命に向けて
人類を進化させる精神エネルギー」の
発揚とちょっと難しくなりますが、
分かりやすくいいますと、
ちょっとした心のトキメキを持ったり、
前向きな希望を抱いたとき、
人間は危機を克服して超然と「進化」する・・・
こうした考え方です。

かといって、ベルグソンは、
妄想宗教家や神秘主義者ではありません。
諸科学に精通する柔軟思考の人です。
「笑い」という論文では「笑い、滑稽や可笑しさとは、
人間が機械のように扱われたときに起こるものなのだ」と、
意識の深奥を鋭く抉った面白い人です。

そして名著「創造的進化」の中で
「劣化するエネルギーは戻らない」とする
「熱力学第2法則」(エントロピーの法則)を踏まえて、
「より完全な生命を目指して跳躍する根源的な精神エネルギー」
があるがゆえに、
人類は悪い環境も克服して進化できるのだ――と、
これまでの単純な機械論や目的論を超える
第三の仮説を立てました。
もう少し医療とのかかわりで分かりやすくいえば、
病気を克服する「自然治癒力」も、
まさに「生命の躍動」=根源的な精神エネルギーの発揚があって
起こることなのでしょう。
みなさんにも、闘病生活の中で
思い当たることがないでしょうか?


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2006年7月22日(土)

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