元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1437回
ガン治療の功罪を情報公開せよ

芸能人やスポーツ選手のガンが多くなってきたからでしょうか、
テレビのワイド番組や
スポーツ芸能新聞などで、
不安と恐怖、そして涙と美談を交えた
ガン闘病番組が増えています。

現実に、この暑さで体調を崩す人が多いせいでしょう。
僕のまわりの何人かの患者さんからも、
ガンの再発転移にどう対処したらよいのかといった相談を
貰うことが多くなっています。

しかし、ガン病棟の治療実態はどうなのでしょうか?
ガンと診断するとすぐにメスを振り回し、
大量の抗ガン剤を投与して、
「これで完治します」「これで順調です」と患者を放り出す――、
そして、再発や転移して、
もう施す抗ガン剤がなくなると、
もっと副作用の強い「治験薬」を実験する――、
さらに治療マニュアルがなくなると
「余命3ヶ月です。
緩和ケアを覚悟してください」と患者に引導を渡す――、
極端ないいまわしかも知れませんが、
いま大病院で行われている“通常医療”と称するものは、
こうしたガン患者を機械修理のように扱っては放り出す、
冷酷な治療といって言い過ぎではないと思います。

たしかに、多くの患者が、はじめは気がつかなくても、
やがて、この世の中に一発完治の特効万能薬などないことに、
気がつきます。
ですから、大病院の医師たちも、もういい加減に、
いま承認されている、
手術、抗ガン剤、放射線の「功罪」と「限界」を情報公開し、
「切れば完治します」などと、もったいぶったことを言わずに、
「ガンは感染症や切り傷の治療のようにはいきません」
「人間の命は機械修理のようにはいきません」
ともっと素直に、患者と家族に、
明言した上で、患者が上手に延命できる、
複合的な治療方法を設計してあげるべきではないでしょうか?

たしかに、大病院には手先の器用な
ブラックジャックという名医もいるでしょう。
神の手と呼ばれる、手術回数の多い医師もいるでしょう。
でも、繰り返しますが、
そうした人体修理だけでは、もうこの複雑化した
ガンという生活習慣難病は治まらないという、
患者実態に見合った「情報公開」をすべき時代だと思います。

ガン対策というと、すぐ「患者登録制」にしろ、
「アメリカの承認薬を日本でも公認しろ」といった、
これまた欧米モノマネの機械的システムの
推進ばかりが声高に叫ばれますが、
もっと、長寿災難時代の生活環境の実態、
さらに日本人のいのちの実態に即した対応が、
医療界、製薬業界、監督官庁に
問われてきたのではないでしょうか?

これ以上“マニュアル式通常医療”がエスカレートしていけば、
ますますガンそのもので死ぬのではなく、
治療で苦しみつつ死んでいく患者が増えるだろう――、
と僕は、よく、このコラムで警告していますが、
長寿担癌者が激増する中で、
やがて、機械修理的な大病院から、
多くの患者が離れていくに違いないと思っています。

いわば、僕たち患者が期待している、
からだ、こころ、いのち・・・人間全体を診る
ホリスティックな医療への転換が、
患者と家族はもちろん、
医療関係者に、緊急に問われていると思います。


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2006年8月3日(木)

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