元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1510回
食道ガンの早期発見、早期治療

「胃ガン、食道ガンは、40歳以上の成人200人に1人が疑わしい」
「とくに食道ガンの手術は、
100人のうち80人は助からない」――、
という食道ガンと惨い手術の話の続きです。

先日、テレビのワイド番組によく出るお喋り上手な医師――
この人はおそらく内科医で、
手術のメスなど持ったこともない人でしょうが、
「食道ガンの喉の接合手術なんて簡単なものですよ、ハハハ」
と笑い飛ばしていました。
こんな軽薄な医師が、したり顔でガン手術について
いい加減な知識を流布することは
患者の一人としてはとても許せません。

さらに、冷静に食道の位置を調べてみれば分かるように、
胸部の中央を通っているため、そのまわりには、
肺、気管、心臓、大動脈、リンパ節、頸椎、胸椎、頸動脈など、
生命維持装置が密集していますから、
執刀そのものだけでなく、術後、後遺症や合併症を併発する
可能性のもっとも高い、難手術が食道ガンなのです。
また、食道は胃や腸と異なり、
外側に漿膜(ガン進行を食い止める壁)のない、
2〜4ミリの薄い膜です。

というわけで、最近は、早期発見なら体にダメージの少ない
内視鏡治療が奨められるようになってきました。
ところが、やっかいなことに食道ガンとは初期は無症状なのですね。
ガンが進行してから「痛み」「物が食べられない」「出血」
といった自覚症状が出てからでないと、
なかなか発見できないのが実態です。

というわけで、胃ガン、腸ガンだけでなく、
40歳を過ぎたら、食道ガンの内視鏡検査も受けるように
医療機関でも奨めるようになってきました。
2006年10月3日、
日本経済新聞に次のようなニュースが流されました。
「昭和大学横浜市北部病院の井上晴洋助教授らは、
早期がんが難しいとされる食道がんを
直径1ミリの初期段階で見つけることができる手法を開発した」
内視鏡による毛細血管の形状変化から判断するもののようです。

たしかに日進月歩の医術開発情報は朗報でありますから、
見分けの難しい食道ガンの早期検査にも、
いろいろな最新技術が報道されます。
しかし、日本では、全体のレベルアップを図るガン医療体制には
なっておりません。ここが問題点です。
一方で、まだまだ「100人に80人は助からない」といった
手術至上主義の惨い治療が問答無用?で
公然と行われていくことになります。
もっと厳しい言い方をさせてもらえば、
まだまだ「切り捨てご免」の手術や「叩かれ損」の大量化学薬治療が
大手を振ってガン病棟に君臨しているといってもよいと思います。

不幸にして、ガンを宣告されても、
あわてて医師の言いなりになってはいけません。
よく医師や病院の言うことを素直に聞くことが、
QOL(いのちの質)の高い治療を受ける患者の姿勢だなどといったことを
本に書いている医師がいますが、とんでもない話です。
この長い長い長寿災難時代に、
ただ体を傷つける、苦しみに身を任せることを
美徳と考える発想はもうやめましょう。

はっきりいえることは、
「いま大病院で行われる通常医療とは、
機械修理のように患者を治療するという発想に基づいている」、
「患者の願う、いのちの繋がりの全体を見る治療体制ではない」、
というガン病棟の“冷徹な真実”です。
患者は、この現実をしっかり知ったうえで、
治療の選択を周到に果たす、
いわゆる「ガン患者学」の時代に突入しているのです。
また「機械修理」のような最新医術情報に
ただ惑わされていては延命できないと思います。
ちょっと、話が演説ぽくなってしまいましたが、
とくに惨い手術の食道ガンの実情について、明日も続けます。


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2006年10月15日(日)

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