元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1511回
食道ガン「100人に2人〜6人が手術死」

さて、ガン手術の中でも
とくに食道ガンの手術は、
じっくり考えたうえで受けるかどうかを判断すべきだ――、
という話の続きです。

食道ガンの手術の惨さ、生存率の悪さについては、
すでに述べてきました。
大阪府のデータでも、手術ほか通常医療による
食道ガンの5年生存率は
「1期60%、2期45%、3期40%、4期13%」
という数字が出ていましたから、
よほどの早期検査、早期治療がでないかぎり、
いまも「100人に80人が助からない」
というデータは変わらないでしょう。

さらに食道ガン手術の場合、問題は、
「5年生存率」が悪いこともさることながら、
「手術死亡率」「在院死亡率」が、
他のガンに比べてとても高いということです。

2006年10月2日の日本経済新聞に次のような
食道ガン手術死についての学会発表記事が出ていました。
タイトルは「手術少ないと死亡率高い」というもので、
別に食道ガンの死亡率を、こと取り上げた記事ではありません。
ようするに「手術回数の多い病院がいい病院だ」といった
データ記事なのでね。

とにかく、学会やマスメディアが
「食道ガンの手術死が激増」とか
「食道ガンの生存率が低いので要注意!」・・・といった
患者向けデータなどは、ほとんど調査公開しないのが、
昨今の傾向ですから、患者は、この新聞記事のような
学会や病院の都合による発信データを裏読みして、
患者サイドに役立つ情報を掴み取る・・・、
こうした「患者学の知恵」をしたたかに持つべきでしょう。

ともあれ、この記事を抜粋すれば以下のようになります。
「日本胸部外科学会は、心臓手術や肺がん、
食道ガンの外科手術で、
年間実施件数の少ない施設は死亡率が高い。
治療格差は5―2倍あった」
「食道がんの手術では、年間75件以上実施している
病院で退院できずになくなった在院死亡率が1.6%、
25件未満の施設では6.5%で、
統計的に3.0倍の格差があった」

ようするに「手術を受けるなら、
手術回数の多い病院にいきなさい」と
教えてくれているのでしょうが、
その病院格差もさることながら、
ガン患者と家族が目を凝らして覚えておくべきは
「在院死亡率」の率の高さです。着目すべきは
「100人に2人〜6人が入院手術で死亡する」という“現実”です。

ちなみに、同じ記事で
「肺がんでは、年150件以上の病院で死亡率0.3%、
10件未満では1.6%」とありますから、
手術死亡率(術後30日以内の死亡)と
在院死亡率(術後日数にかかわらず入院中の死亡)は
多少定義が違いますが、いかに食道ガンの手術が惨く、
難しいかを物語っていると思います。
マスメディアも、もはや学会や病院、
行政サイドの発表記事を鵜呑みにして、
「丸写し」したり「丸投げ」するのではなく、
メディア自らのガン治療についてのあり方を
盛り込むべきでしょう。
これからはガン情報公開をメディアが率先すべき時代です。

話が脱線しましたが、
ことほど左様で、どのガンにもいえることですが、
とくに中年男女に増えつつある食道ガン、喉のガンの
治療選択には、じゅうぶんに情報を得て、
判断するようにしてください。
これからは一人一人が「患者学」を持つ時代なのです。


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2006年10月16日(月)

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