元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1517回
故・土屋繁裕医師を偲んで

10月4日に開かれた
秋のスローヘルス研究会は、ガン専門相談所である
キャンサーフリートピアの代表医師・三好立先生を講師に迎え、
「がん治療とセカンドオピニオン
〜"良い時間を一番長く"のために〜」という講話を伺いました。

講話の内容は、ガン治療の目的とは、
不治の病だとあきらめたり、あわてたり、
また、ただ闘病に苦しむのではなく、
「良い時間をどう一番長く過ごすか?」を、
じっくり時間をかけて検討しよう――、
治療の選択のためには、第2の医師の診断も受ける
セカンドオピニオンを積極的に実行しよう――という話です。

さて、セカンドオピニオンを受けるといっても、
最初に罹った病院の主治医に紹介状を書いてもらったり、
検査データを申し出ることは、なかなか勇気のいることです。
しかし、2、3年前と違って、
セカンドオピニオンを嫌がる医師は、
相当遅れた医師といわれるようになってきたようですから、
治療に迷ったら「ビビらず、申し出よう」
そして「その申し出るタイミングを誤るな」
入院することは、
いわば患者は人質に取られたような気分になるから、
「セカンドオピニオンを申し出るなら、
入院前か、治療決定前に実行するようにしよう」という提案です。

これからは、患者は「医療消費者」という自覚を持とう――
これがHBM(ヒューマン・ベースト・メディスン=
人間本位治療)の基本だ――という、
患者にとって、とても大切な話でした。

ちなみに、HBM(人間本位治療)とは、
キャンサーフリートピアの創設者であり、
三好医師の先輩にあたる故・土屋繁裕医師が考案した、
患者のための医療の基本理念ですが、
ちょうど、当日は、49歳という若さで惜しくも亡くなられた
土屋先生を偲ぶ1周忌のセレモニーも行われました。
故郷の福島・郡山から、奥さんの土屋広見さんも出席され、
先生の遺志を受け継いで、ガン相談の事業を広めていくという
決意が新たに披瀝されました。

また、キャンサーフリートピア設立当初から5年間、
孤軍奮闘してきた土屋医師を、公私にわたって支援してきた、
B&Sコーポレーション社長の福井正勝さんから、
献杯と追悼の言葉をいただき、
出席者一同も「いつも魂の世界では土屋先生と一緒なのだ」と、
先生が残された言葉の一つ一つをかみ締めつつ、
改めて、勇気付けられたわけです。
当日は、来年、放映予定の「テレビ追悼特番」の収録も入りました。
ともあれ、土屋先生は癌研病院のエリート外科医の座を捨てて、
単身、日本で始めてのガン専門相談所を開設するという、
じつに大胆な事業に乗り出した外科医でした。
16年間、700例にのぼる難手術を執刀してきたベテランだけに、
ガンに関わる患者の質問にも「1を聞けば10を答える」どころか、
「1を聞けば100を答える」という天才肌の医師でした。
しかし、ご存知の方も多いと思いますが、髪は茶髪で、
偉ぶるところがなく、患者や家族に、1時間でも2時間でも、
ガンの仕組みから最新療法の是非まで
懇切丁寧に教えてくれる、じつに気さくな医師でした。
「帯津良一先生は“笑う抗がん剤”といわれて患者のみなさんから
慕われておられますが、僕は“喋る抗がん剤”として
患者のみなさんのお役に立ちたいと思っています」
と、ジョークを飛ばすのが口癖でした。

「患者にとって
“月光仮面”のような凄い先生だったなあ」と思い出します。
本当に惜しい医師を失いました。
しかし、その人柄と業績の素晴らしさゆえに、
いまなお、多くのみなさんから、こうして慕われているわけです。
そして、10月9日には、故郷・福島郡山でも
近親者や友人のみなさんが集まって一周忌がとり行われました。


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2006年10月22日(日)

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