元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1537回
食育基本法の矛盾点

新宿・明治安田生命ホールで開かれた
「海の精」株式会社の30周年記念講演会から
僕が感じた話の続きです。

講演会の最後に主催者である
「海の精」株式会社の代表取締役・村上譲顕さんが、
30年にわたって「自然海塩」を生産してきた立場から、
健康常識のウソや食育基本法の問題点をスピーチしたわけです。
「確かに、塩にはたくさんのナトリウムが入っています。
塩化ナトリウム純度が低い昔ながらの自然海塩には、
ナトリウムだけでなく、
カルシウムやマグネシウムやカリウムなどのミネラルも
同時に含まれているんです。
優良な自然海塩は、血液やリンゲル液のミネラルバランスに近い。
こうした塩なら、ナトリウムの量は同じでも、
その作用は大きく異なって、
高血圧症の原因になったりはしないのです」

この話を聞いて、
なるほど、「医療」「食品」「食育」のみならず、
画一的に制度化が進む社会とは、
ますますの「いのち」とかけ離れた矛盾を
露呈していくのだなあと痛感しました。
というのは、世に健康食品の表示がやかましくなってから、
「純粋に自然である根拠を提示できないものは公正取引上の
警告に当たる」ということになって、
この業界でも「自然海塩の表示」
そのものが危うくなってきたというのです。
いずれ、この業界で新たな見解が決まるのでしょうが、
いまの高度制度化社会とは「推進」といいつつ、
「規制」を強める機械論的な役人論文が
氾濫する世の中のようです。
人間のため、日本人のため、いのちのためと称しながら、
制度のための制度、法律のための法律がどんどん作られる――、
そうした無機質な管理社会に向かっているのでしょう。

さて「食育基本法」の矛盾の話に戻しますが、
村上さんは、前回、紹介した厚生労働省などが提示した
「食生活指針」10か条を、自らの考え方で書き換えて
「日本食用塩研究会」提唱として
以下●のように発表したのは興味深いものでした。

(1)食事を楽しみましょう。
●食事はいのちを育て、保ち、癒すもの

(2)1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
●お腹がすいてから食べよう

(3)主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
●主食、主菜、副菜の割合を整えよう

(4)ごはんなどの穀類をしっかりと。
●主食はご飯でしっかり食べよう

(5)野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
●主菜、副菜、調味料、料理法で陰陽の調和を図ろう

(6)食塩や脂肪は控えめに。
●高純度の塩、糖、油脂、旨味調味料などは避けよう

(7)適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。

●よく噛んで、食べ過ぎ、飲み過ぎに注意しよう

(8)食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
●その土地、その季節のものを食べよう

(9)調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
●食材は丸ごと活かし、料理は捨てないようにしよう

(10)自分の食生活を見直してみましょう
●自分や家族の食生活と健康の関係を観察しよう

さあ、どうでしょうか?
村上さんの食の発想は「マクロビオティック食養生法」を
基礎にした考え方ですが、こちらの方が、よほど血の通った、
日本人といのちを考えた「食生活指針」だと思いませんか?
「食生活指針」の(3)で表記された、
主菜とは野菜など植物性食品のことですが、
副菜とは肉類など動物性のことです。
まえに紹介した幕内秀夫さんの説ではありませんが、
日本人の食事の問題は、「主菜」=パン、
「副菜」=肉食に偏りすぎているところにあります。
はっきりって、日本人の食育を、本気で推進する気があるなら、
とくに「(3)主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」
という、紋切り型のバランス論は、根本発想が間違っているのです。


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2006年11月11日(土)

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