元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1633回
「食は病を医す」

ガンや糖尿病の患者だけでなく、
メタボリック症候群や肥満、便秘、不定愁訴に悩む女性たちから、
「いのちは食がつくる」「食は病を医す」「医薬同源」という、
古来日本人が考え、日々のライフスタイルに取り入れてきた、
食養生法の大切さを、身に染みて感じるようになり、
マクロビオティック玄米菜食法のよさが見直されてきたことは、
この長寿難病時代には、当然の考え方だ――、
という話の続きです。

マクロビオティック玄米菜食法とは、
このコラムでも何度か紹介してきたように、
カタカナで表記されているからといって、
別にアメリカやヨーロッパ生まれの食事療法ではありません。

日本の社会、とくに学会やマスコミは、
欧米で流行っているもの、欧米で開発されたものなら
すべて正しい(?)と思い込む癖があります。
とくに医学や健康に関する研究は、
近代130年の臓器分析式のドイツ医学の制度に基づいて
構築されてきましたから、東洋医学や伝統療法は、
すべてまやかしとして退けられてきたわけですから、
大抵の人が、欧米モノマネ志向に「洗脳されてきた」といって
言い過ぎではないわけです。
ただし、幸か不幸か?マクロビオティック玄米菜食法は、
その基本の食哲学の中興の祖とも言うべき、食養指導者である、
桜沢如一氏が「カタカナ」で造語・発案したために、
欧米好みの若い人たちにも信奉者が増えてきたとは・・・
とても皮肉な話なのです。

ちなみに、この伝統的な食事法の始祖は、
西洋医学では治せない病気を
玄米中心の食養生法で改善しようした
明治の軍医・石塚左玄という人。
その弟子である桜沢如一さんが、
石塚左玄の養生法に陰陽思想を盛り込み、
マクロビオティックと命名。
やはり食養指導者の久司道夫さんと共に、欧米に布教。
いまでは、マドンナやトムクルーズ、
グイネス・バルトロウといった
有名タレントやセレブが好んで取り入れている
というので日本に逆輸入。
その結果、最近、マクロビオティック玄米菜食法が、
単なる食事法、ダイエット法ではなく、
陰陽のバランスを基本とする日本人に合う、
ライフスタイル改善の健康食として
知られるようになったわけです。
マクロビオティックとは、
マクロ=偉大な、ビオ=生命の、ティック=術/方法・・・
という意味です。

ところで、医療費負担が増えて、
国の財政が困ってきたのが第一の理由なのですが、
いまや、老若男女を問わずに襲っている、
生活習慣難病の蔓延に、一般市民も
「薬漬け」「検査漬け」では、病気は治らない・・・
ということに気づいてきたのでしょう。
医療後進国、教育後進国の日本でも、
やっと食育基本法が出来、「クスリより食事」を大切にしよう、
「未病を防ごう」という考え方が見直されてきました。

ちなみに厚生労働省の文書には書いてありませんが、
「食育」という言葉は、
マクロビオティック玄米菜食法の始祖である
陸軍漢方医の石塚左玄が
『通俗食物養生法』(1898年(明治31年)
「今日、學童を持つ人は、
體育も智育も才育もすべて食育にあると認識すべき」
で造語したものです。
もちろん、食育基本法の中身は、まだまだ、欧米ものまね式の
「パンや肉食」中心思考の栄養学から脱皮していませんが、
明治時代に西洋医学・西洋栄養学の否定運動を展開した
マクロビオティック玄米菜食法から生まれたとは・・・
時代を象徴していると思いませんか?
やっと、日本人らしい
「食事の思考法」が見直されはじめたことは、
ひとつの進歩でしょう。


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2007年2月15日(木)

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