元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1654回
人生あと60年くれよ!

「なんでそーなるの!―萩本欽一自伝」(日本文芸社)という、
人気コメディアン、欽ちゃんが書いた、
ちょっと、心ときめくような、いい自伝を読んだ――、
苦労人でありながら、天性が明るい欽ちゃんが、
「人の縁」をひとつひとつ繋げて、大きく成長していく様子が、
じつに屈託なく披瀝されている――、

とくに、お母さん、そして奥さん、お子さんとの絆を綴った、
この本の後半は感動ものだ――、
人生なんて、自分を偽って作るものではないよ・・・
というメッセージが伝わってくる――、という話の続きです。

ここで、萩本欽一さんの半生をあれこれ批評するより、
僕が、もっとも感動した「家族との絆」の部分、
●子供たちのその後――
「もし子供が『コメディアンになりたい』なんて
言いだしたら、離婚するからな」
奥さんの子育てに関して僕が言ったのはこれくらい――、
という章を、ちょっと抜粋紹介します。

長男の方は「妙に固くて」、
最初、銀行員になるといったそうですが、
「うちは世の中の人がみんないいと思ってるような家族を
やってこなかったのに、お前はすごくいい子に育って僕は悲しい。
ふつうは就職するために大学へ行くけど、
お前には大学に行ったのが無駄になるような職業についてほしい」
と欽ちゃんはいったそうです。
なかなか、世の親たるもの、ここまで言い放つ勇気は出ませんね。

さて、欽ちゃんのメッセージは、どう伝わったでしょうか?
詳しくは、この本を読んで欲しいのですが、
3人のお子さんは、父のメッセージをそれなりに受けて、
じつにのびのびと成長していく。
長男は、素直に「分かった」といって、
なんと、大学卒の弁当屋さんになったというのです。

さて、次男の方も負けていません。
予備校に1年通ったと思ったら、
「さあ、就職だ」「だって、お父さんいったじゃない。
やったことが無駄になるようなことしろって」
といって、さっさと、就職。
そして、三男は
「俺、コメディアンやりたいなあ」といっていたが、
アルバイトで100万円貯めては、
海外生活を愉しんでいるそうです。

欽ちゃんのコメントが面白い。
「それは最高だ。人生は無駄にこそ価値がある!」
そして、「あんたたちの話聞いていると、こっちまで
頭がおかしくなるからあたし寝る!」って、
奥さんがフテ寝するオチがつくところが、
いかにも、欽ちゃん家族の面目躍如たるところでしょう。
         
人生なんて、自分を偽って作るものではない・・・
というメッセージが伝わってきます。
その欽ちゃんといえば、40歳からテレビの仕事をやめ、
予備校で勉強をしなおし、とうとう、
前代未聞のファンに愛される
野球チームの監督ならぬ「欽督」におさまる。

そして「僕自身はね、65年生きてたら、
ようやく少しだけ、いい人に出会うことコツが見えてきたでしょ。
だから、人生あと60年くれよ! 神様にそういいたいね」と
述懐するところが圧巻です。
僕はこのコラムで何度も書いていますが、
「40歳からの魂進化論」という学説が好きです。
この欽ちゃん自伝を読んで、人間って、
もっともっとスピリチャルに「進化」していいものだと、
改めて勇気付けられました。しみじみとした、いい自伝です。
興味の湧いてきた人は、本を読んでみてください。


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2007年3月8日(木)

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