元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1741回
全身温熱療法って何?

5月12日(土)、東京・中野のサンプラザで開かれた
「第11回全身ハイパーサーミア研究会」の話の続きです。
主催者は、いま発売中の「いのちの手帖」第3号、春夏特大号に
「いきいき診察室  がんと温熱の話」を寄稿していただいた、
全身温熱療法
(全身ハイパーサーミア WBH=Whole Body Hyperthermia)
の権威・ルカ病院ルーク・クリニックの竹内晃院長です。

ちなみにハイパーサーミア(温熱療法)とは、
人間の体の細胞は
42.5℃を過ぎると死滅するという性質を利用して、
高熱によってガン細胞を攻撃しようという療法。
また、ガン細胞は正常細胞より熱に弱い性質があり、
正常な組織を破壊することなく、
ガン細胞を死滅させることができるという考え方です。

ルカ病院 ハイパーサーミア治療部はもちろん、
埼玉医科大学、東京女子医大、東京逓信病院、
京都府立医科大学などでも研究治療が盛んで、
当日も、多くの医師たちが参加しておりました。

竹内晃医師のハイパーサーミア(WBH=全身温熱療法)の
臨床報告については、僕も何回か聞いたことがあるのですが、
ルーク・クリニックのホームページに、
分かりやすい解説が載っていますので、
ちょっと、専門的になりますが、概略を紹介しておきます。

          *

全身ハイパーサーミアの治療とは――、
血液を体外に出し温めてから血管内に戻す体外循環法が、
以前、各大学病院で行われ学会で注目されました。
効果は49%を認めましたが、
体外循環法は体力の消耗や副作用が大きく、
経費も一回100万円以上必要であったために、
現実的な治療として定着しませんでした。
また発熱物質を注入する方法なども試みられましたが、
有効な温度まで上昇させることができませんでした。

1990年にこれらの問題点を解決した、
遠赤外線による体外からの加温技術が開発されました。
遠赤外線で体表の血液を温め、
血液の循環を利用して
身体の深部まで均等に加温していく方法で、
体力の低下も副作用も少ない
安全な加温治療が可能となりました。

熱感を抑えるための軽い静脈麻酔をした後、
直腸内、食道内、体表面に数カ所の温度センサーをつけ、
加温器に入り、徐々に体温を上げて行きます。
直腸温(医学的な体温の標準値)で
41〜42度を保持しながら約60分間加温し、
徐々に放熱させ覚醒を待って病室に戻ります。
静脈麻酔で体温調節機能を弱くし、
遠赤外線加温装置で体表を加温します。

遠赤外線は体の中には通りませんが、
末梢血管の血液が暖まり、序々に深部の体温が上昇します。
治療中、全く苦痛を感じる事はなく、
数時間の休息の後、お粥を食べて帰宅していただけます。
通常、数時間の休息で帰宅することができます。

           *

これまでの血液を体外に出して温める療法では、
体力の消耗が激しい難点があったようですが、
遠赤外線による体表からの加温法と、
さらに最新の麻酔技術を導入したため、
通院治療が可能になったそうです。

ちなみに、ルカ病院・ルーク・クリニック1は
保険外診療専門施設で、
全身ハイパーサーミアは、
現在、国民健康保険の適用はできないそうです。
詳しく知りたい人は、以下に確かめて見てください。
また、6月6日に東京・新宿で開かれる、僕たちの
「スローヘルス研究会」でも講話をお願いしています。


1 http://www.luke.co.jp/


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2007年6月3日(日)

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