元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1756回
第5のガン治療=温熱療法

6月6日、東京・新宿で開かれた
スローヘルス研究会の話の続きです。
講師は、第5のガン治療法=温熱療法
(ハイパーサーミア)の権威、
ルカ病院附属ルーククリニック院長の竹内晃先生。
その「がんと温熱」という講話の概略を紹介しましょう。

           *

●がんと温熱(Thermal treatment for cancer)
1・体温調節について
私たち、恒温動物は外気温度の変化に対して、
体温を一定にする強力な調整機能を持っています。
体温は、寒いときに体を丸めて体表面積を小さくしたり、
暑いときに汗をかいて体表面を冷却するなど
様々な反応により生命力が守られています。

この生命力を守っている温度が「中枢温度」と呼ばれ、
直腸や食道の温度で測られるものですが、
この「中枢温度」が下がると、
すべての生体反応が低下するという仕組みになっています。
つまり、寒い時に、体の皮膚が冷える、
足先や手先が冷たくなるということは、
体の「中枢」の温度を下げないための生体調節反応なわけです。
皮膚の毛細血管には血流が届かないように反応するわけです。

その結果、中枢体温が、いわゆる平熱の37度でも、
正確に体温計で測ると、手足や耳、鼻などは、
大気が20度だとすると、20度前後ということになります。
この「末梢循環不全」とは、外気の寒暖のみならず、
慢性の疾患で体が消耗し、熱エネルギーが不足したり、
食事が摂れなかったり、また、
過度のストレスで交感神経が優位になっても起る現象です。

というわけで、温熱療法(ハイパーサーミア)の目的は
末端温度ではなく「中枢温度」をいかに高めるか? 
熱に弱いガン細胞の増殖を防ぐか?
ここがポイントなのです。

2・がん細胞と熱
では、温熱療法を施すことによってガン細胞はどう変化するか?
これについて解説します。
ガン細胞は正常細胞と異なり、
規則性がなく際限ない増殖をします。
たとえば、食道ガンの例を挙げますが、
平熱37度で培養した正常の線維芽細胞は、
顕微鏡で覗くと、方向性を保って規則正しく成長しています。
ところが、37度のときガン細胞は固まりあってどんどん増殖。
ついには肉眼でできるほど小さな腫瘍を形成するのです。
というわけで、ガン細胞を42度で1時間加温するとどうなるか?
食道ガン細胞は全部は死滅しませんが、大半が熱壊死することが、
マウスの実験でも、臨床例でもわかってきたわけです。

3・目標:ガンを熱で治す
実際の温熱療法では、42度以下の加温を1時間、
繰り返していくわけですが、効果としては
「ガン細胞の1/2が熱壊死」
「あとの1/2は加熱後に損傷した細胞の
アポトーシス(自殺死)」によって
得られることがわかってきました。
体温上昇により、全身にアポトーシス遺伝子P53や
熱ショック蛋白などが発現することが証明されています。

            *

これが、竹内医師が15年間かけて開発してきた
ハイパーサーミア(温熱療法)の原理ですが、
実際には、写真のようなカプセルの中に仰向けに寝て、
麻酔を受けた状態で1時間、
腹面、背面から遠赤外線で全身加熱する方法です。
いま、中国の北京大学や大手医療企業と提携して、
写真のように「繭のさなぎ型」の最新カプセルを開発。
昔のように加熱による障害をなくした方法を完成したそうです。

ハイパーサーミアの最新加温器カプセル

ただし、大学病院から見捨てられたり、
転移の悩みを抱える患者と家族には
朗報のひとつですが、まだ、医療保険対象外の治療法ですから、
治療費がかさむことはいなめません。
詳しく知りたい方があれば、以下のホームページ1で確かめて、
問い合わせしてみてください。


1 http://www.luke.co.jp/


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2007年6月18日(月)

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