元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1795回
「いのち」を感じる服

まえに、スローヘルス研究会の仲間で、
NPO「オーロラ自由会議」の
主宰者である遠藤京子さんが、
マクロビオティック食堂「あらいぐまの台所」
というお店を東京・目黒に開店したという話を書きました。
その開店イベントのひとつとして、作家の山口泉さんの講演会が
7月16日(月・祝)に開かれましたので、話はもちろんですが、
本格的なマクロビオティック料理を楽しみに夫婦して出かけました。
当日の特別メニューは、以下のような遠藤さん手作り料理。
野菜の煮方が独特で、食べたあとに、
体中が綺麗になる感じが溢れてくるとても美味しいものでした。
●ごはんセット(玄米・味噌汁、お新香・胡麻塩)のほかに
1・小豆かぼちゃ
2・ひじきコンニャク
3・切干大根煮
4・いろいろいろきのこのなめたけ風
5・いろいろお豆のマリネサラダ
6・青菜の煮びたし
7・高野豆腐と人参のごま煮
8・ひよこ豆のカレー風味
9・大豆ミートの油淋鶏風・・・・
この中から、お惣菜を6点選ぶと、
大きなお皿にそれぞれを綺麗に盛り付けて出してくれました。

残念ながら、遠藤さん自慢の「金平牛蒡」は、
人気集中で売り切れでしたが、
どれもこれも醤油の使い方が上手い、
とてもさわやかな味付けでした。
最近は、マクロビオティックレストランが増えたのは
喜ばしいのですが、
大抵が、サカナを入れたり、デザートを甘くする
いわゆる「マクロビ風」の自然食が多いので、
「久しぶりに、外で本格的マクロビ料理をたべたなあ」と
精魂込めて料理してくれた遠藤さんには、
カミサンとお礼を述べておきました。
お店の場所が、東京のど真ん中というわけではありませんので、
目黒方面に行った折には、
みなさんも一度寄ってみてください。

さて、当日の山口さんの「いま、宮澤賢治をどう見るか?」
という3時間に渉る講演会ですが、
いわば「幻想文学の国民的ヒーロー」
という賢治ブームを批判する論点――、
つまり、美しい言葉の上に重ねられた
『雨ニモ負ケズ』の欺瞞や矛盾を
時代の歴史的背景から指摘するという話でした。

「うさとの服」で講演と演奏をした山口泉さん

さらに、同郷の詩人・石川啄木や同時代の作家・小林多喜二の
作風や生き方と対象比較しながら「人間のいのちはもちろん、
作品にしても、そのひとつひとつが、決して、
現実の社会の因果関係から離れて生まれるものではない」
と指摘するだけでなく、
宮崎駿さんのアニメ「もののけ姫」ブームも批判しながら、
最近のメディアの状況も「権力におもねる」傾向があると、
山口さんらしい持論で多角的に展開するものでしたから、
おそらく、初めて聞いた人は、目からウロコの衝撃を受けたかもしれません。
僕とて宮沢賢治には詳しくありませんが、
まえに山口さんの本も読んでおりましたし、
近頃は、本当に「権力におもねる」ような
”知識人”が、やたらと、
テレビや新聞に跋扈しているのには
あまり感心していませんでしたので、
じつに興味深く聞かせてもらったわけです。

こう書くと、髭モジャのいかめしい作家による、
いかにも堅苦しい講演会のように聞こえるかも知れませんが、
じつは、山口さんは画家でもあり
音楽家でもある多彩な芸術家でして、
お店には自作の風景画が飾られ、
自慢のチェロ演奏も交えての講演なのです。
さらに、山口さんは「うさとの服」という、
タイ自然素材製の麻と綿からできた手つむぎの、
ゆったりとしたファッションを着こなして現れましたので、
お店全体の空気が、
じつに温かくて和やかな演出に包まれておりました。

さて、なんとも気になった山口さんが着ていた
手つむぎ自然素材の「うさとの服」ですが、これは、
山口さんと遠藤さんの友人でタイ・チェンマイ在住のデザイナー・
さとううさぶろうさんが製作している
「いのちを感じる服」だというのです。


1 http://www.araiguma-net.com/


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2007年7月27日(金)

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