元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1797回
「いのち」を感じる絵本朗読会

食の愉しみを満喫しようと、
マクロビオティック食堂
「あらいぐまの台所」※1に出かけていったわけのだが、
絵も、音楽も、そして、知的な愉しみも堪能させてもらい、
また、自然素材ファッションの肌触りの
素晴らしさも教えてもらった――、
おそらく、遠藤京子さんや山口泉さんが目指している
マクロビオティック(偉大なる生命の知恵)とは、
こうした人間の身・魂・心・そして社会環境といった
「ホリスティックな生命場」を作ることにあるのだなあ・・・
と、僕は勝手に感じた――、という話をもう少し続けます。

というのは、講演と食事の合間に、
オーナーシェフの遠藤京子さんが朗読し、
作家の山口泉さんがチェロ演奏する、
20分ほどの「絵本朗読」演奏会があったからです。

その絵本は『さだ子と千羽づる』と題するもので、
2歳で被爆し、その10年後に原爆症のため亡くなった
佐々木禎子さんの生涯を描いたものです。
ストーリーのあらすじは以下のようなものでした。

       *

1945年、アメリカによって広島に原爆落とされた後、
即死を免れてからも、
たくさんの人びとが原爆症で亡くなっていました.
そのうちの一人が、佐々木禎子さんです。
禎子さんは病床で
「鶴を千羽折れば病気が治る」
という言い伝えを信じて、
薬の包み紙を折り続けたのでした。
しかし、彼女の願いも放射能の前にはかないませんでした。
彼女の死後、クラスメートは禎子さんのために、
また、原爆で死んだたくさんの子どもたちのために
慰霊碑を建てることにしました。
この願いが日本中・世界中の人々に伝わり、
広島に「原爆の子の像」が建てられることになったのです。

         *

この絵本は、SHANTIという
「平和を考えるフェリス女学院大学学生有志」
の人たちによって作られたのですが、
遠藤さんの主宰するNPOオーロラ自由会議が出版し、
この13年、有志が集まって、
広島・平和公園で朗読会をしているもの。
94年8月6日の日本語版刊行以来、
朝日新聞「天声人語」ほか、多くの新聞で紹介され、
各界から話題を集めたそうです。

また、国内のみならずアメリカ、韓国、中国など世界各地でも
朗読演奏会を開き、
「ともすれば、曖昧にされがちな、
侵略戦争の責任と、核兵器による無差別大量殺戮の実態を
機会あるごとに訴えています」と、
山口さんは、しみじみと語っておりました。

僕も、まえに遠藤さんと山口さんから
この絵本朗読運動の話は聞いていましたが、
見るのは初めてでしたから、ほんとうに、
マクロビオティック食堂の開店に出かけたおかげで、
普段は忘れそうになっている「いのちの根源」について、
じつに分かりやすいメッセージで教えられたことになります。

ことしの8月も「朗読・遠藤京子/チェロ伴奏・山口泉」による
14回目の絵本朗読会が、
広島・平和記念公園「原爆の子」の像の前で
8月4日〜8月7日の間に、
延べ数十回にわたって行われるそうです。

8月6日広島、8月8日長崎・・・
それぞれが
「戦争と核兵器のない社会」に願いを馳せるわけですが、
僕自身は、日本人の先達が発案した、
マクロビオティック哲学(偉大なる生命の知恵)を、
いま一度見直して、
欧米の借り物ではない、
日本人らしい「いのちの哲学」「平和の哲学」を
構築するときがきていると思っていますが、
みなさんはどう考えるでしょうか?


1 http://www.araiguma-net.com/


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2007年7月29日(日)

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