元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1809回
良薬は口に苦し

薬に関する格言に「良薬は口に苦し」というものがあります。
読んで字の如しで、
「よい薬は苦いけれど病気によく効く」という意味ですが、
これは、体ばかりか、心の持ち方も変える金言です。

ちょっと、薀蓄めいた話を書けば、
昔、漢の国の皇帝になった劉邦が秦の国を攻め落としたときに、
宮殿の財宝や美女を独り占めしようとしたとき、
張良という武将が「忠言は耳に逆らえども行いに利あり。
良薬は口に苦けれども病に利あり」と諌めたことに由来します。
自分のためを思った忠告は聞きにくいけれど、
行動にはプラスになる・・・といった意味で、
劉邦はこれを聞き入れて名皇帝になったというわけでしょうが、
西洋にも Good medicine is bitter to the mouth.
(よい薬は口に苦い)
という格言があります。

とはいっても、人間は、他人から「耳の痛い」忠告をなかなか素直に
聞き入れることが出来ません。
僕なども頑固な方です。
ガンになって、いろいろな人から『苦い忠告』を貰いましたが、
その言葉は、過度に苦すぎても、
またあまり甘すぎても効かない様な気がします。
ま、ほどよく、じわじわと苦味が効いてくるような人って、
やはりいるものなのですね。心の処方箋のうまい達人です。

僕の主治医の帯津良一先生などは、
ニコヤカな顔をしながら、
ずばり、人生の深奥を衝く言葉でリードしてくれるので、
たしかに処方してくれる漢方薬も苦いのですが、
先生の言葉が、心の奥にじわじわと染み込んで、
ふつふつと生きる勇気が湧いてきますから、
なんとも不思議な魅力を持つ医師なのです。
さて、みなさんの中にも、ちょっぴり苦くて優しい心の友や
人生の先達を持っている人は覆いと思いますが
それはとても幸せな人だと思います。

僕にも、いろいろな
「良薬は口に苦し」の先輩がたくさんいることは
このコラムでも何回か書きましたが、
いつも効き目の高い「良薬」を処方してくれる
機知に富んだ先輩がいます。
まえにも紹介した、80歳にして、ますます
口も筆も達者なフランス人ジャーナリストでエッセイストの
アンドレ・キャラビさんです。

            *

《French aphorisme》  :不健康:
Celui qui fume sans
se soucier
des autres devrait 
savoir que ces autres 
ne se soucieraient pass‘il
mourrait avant eux!

タバコを吸って、皆に迷惑かけても知らんぷりな人は、
その人が早死にしても、誰も知ったことではないよ!

           *

これは「いのちの手帖」第2号で、キャラビさんが
「読んで笑ってスローヘルス・・・
目からウロコの『読むクスリ』」
と題して書いたエスプリ(機智)に富んだ
警句(アフォリズム)集の一節ですが、
日本人同士では言いにくいこともやんわりと諌める――、
そうした心の処方箋のようなエッセイを得意としていますので、
いま、結構、日本人にもファンが増えているのです。

そのキャラビさんが、いま週刊ポストで、ムッシュ・キャラビの
「GRAIN DE POIVRE=コショウの一粒・今月のエスプリ」と題する
まさに「良薬は口に苦し」の痛快なコラムを、
月1回で連載していることはまえにも書きましたが、
いったいどんな日本人への警句が送られているか?
まだ、読んでいない人も多いでしょうから、
明日から一挙に公開してもらいましょう。
きっと「目からウロコ」の
心の薬がもらえるはずですよ。


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2007年8月10日(金)

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