元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1963回
猪瀬直樹さんの「作家的直感が社会を変える」

年末に、僕の親友である作家の猪瀬直樹さんを、
ちょっと別件の用事もあって、
東京都庁の巨大ビルの6階にある、
副知事室を初めて訪問し、
「なぜ、作家が副知事になったのか?」
という疑問について聞いてみた――

そこで聞いた話は、
「小泉(元首相)さんを(道路公団で)手伝ったけど、
あの人も直感の人だった。(石原さんも)直感の人です」
「これから、あらゆる分野で時代をパワーアップするのは
『作家的直感』だ。そういう感性が官僚機構との最後の勝負で、
勝てば日本に未来は拓ける」というものだった――、

では「作家的直感」がはたして、どうしたら、
旧弊の官僚体制を打ち破るパワーとなるのか?
これからの生き方や
社会対応のエネルギーの源泉とはどんなものか?
このあたりの猪瀬さんの持論は、
「週刊 読書人」2007年9月21日号の
第1面、そして第2面、第3面を飾ったインタビュー大特集――、
「東京都副都知事になった作家の抱負」に
端的に語られているのでそこから抜粋紹介してみよう――
という話の続きです。
         
『作家の誕生 (朝日新書) 』で書いたけれども、
日本の作家は、
私生活の世界に入り込んでしまったんですね。(略)
夏目漱石の「こころ」の中の先生は
『日本は滅びるよ』と言う。
それは実は『バカの壁』と同じで、
養老孟司さんもある意味傍観者なんです。
滅びるよ、と高等遊民として言うのは楽なんです。
それはちょっと無責任じゃないかと思うんですね。」

猪瀬さんの洞察をもう少し分かりやすくいいますと、
作家に限らず、世の多くの人たちが
「高等遊民」化しているところに、
改革の問題点があると指摘するわけです。

高等遊民とは、つまり、明治末期に流行した、
学歴があっても世俗的な労苦を嫌い、
自由気ままな生き方をするニヒルな青年たちを指しますが、
いわば社会における、高等フリーターといいますか、
「超然たる批評的傍観者階層」
とでもいったらいいでしょう。

以下、猪瀬さんは高等遊民的な「作家」を直截に批判しますが、
その根拠はなにか?
猪瀬流の「弁証法的感性」に基づく、以下の解説を、
僕たちフツーの「人間」の生き方と比較して読むと、
社会改革や人間改造の
いろいろなこれからの問題点が見えてきますので、
なかなか含蓄の深い話だと思います。

「ヨーロッパ以外で、近代という世界を作ったのは日本だけで、
ヨーロッパの場合は国民国家なのですが、
日本の場合は官僚機構が作り上げてくるわけですよ。
戦前は軍国主義で、戦後は平和主義とか言うけれど、
そうじゃなくて、一貫して
官僚主権の連続性であった。」

だから、官僚主義にすべて下駄を預けておいて、
「日本は滅びるよ」と、
人生を斜めに構えて高見の見物を決め込む、
夏目漱石に代表される態度は、これからも「いかん!」と、
近代日本の作家論を通じて、
世の一般市民に社会参加のメッセージを発信する――、
こうしたアクティブ・メッセージを送り続ける作家が、
猪瀬さんといったらよいでしょう。


←前回記事へ

2008年1月11日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ