元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第2074回
母より先に死ぬわけにはいかん!

ガンは「あわてない、あせらない、あきらめない」=
「3つのA」をしっかり身につけて、
スローヘルスな養生法に励もう――、

拙著「ガンは宿命癒しは運命」は、
「あわてない、あきらない、あきらめない」=
「3つのA」を目指して、
僕のガンと老母のボケ(認知症)という
二世代闘病を乗り切って行く、
10年前の同時進行ドラマだった――、という話の続きです。

これもだいぶ前に出た本ですから、
最近の読者のみなさんは読んでいないでしょうから、
「母より先に死ぬわけにはいかん!」
という章のポイントの部分を抜粋します。

どうしたら「運命を切り開く」ことが出来るか?
「希望こそ良薬 あきらめは毒薬」
の養生法に到達できるか?
一人の延命患者のケーススタディとして読んで見てください。
別に、僕の本ですから、
それほど深刻ぶったタッチではありませんし、
母親もちょっとユーモラスな人でしたから、
すらすらと肩こらずに読めることは保障します。

             *

●母より先に死ぬわけにはいかん!
 「宿命を呑み込んで運命を切り開こう

母は記憶がマダラにボケたとはいえ、
顔の色艶だけはよく、(貝原)益軒先生と同じで
八五歳に向けて歳を重ねながら、
たくましく上寿を目指していた。
この四月からは要介護5のランクで
介護保険のお世話になっている。
僕はいくら不治のガンといわれても、
この老母より先に、
この世とオサラバというわけにはいかなかった。
「どっこい、どっこい、どっこいな〜」と
奇妙な節回しの掛け声をあげながら
近所を徘徊して楽しんでいた老母だが、
僕がガンで入院中に、とうとう、
道路でよろけて大腿骨を折ってしまった。
老姑と夫の“二世代闘病”の狭間にはまりこんだ妻は、
心を鬼にして、母を埼玉の老人病院に預けた。

母は入院一年になるわけだが、
もはや、二度と歩けない寝たきりになって
病院のベッドに横たわっている。
「どっこい、どっこい」と大声を上げて徘徊するのは
もう疲れたらしい。
看護婦さんが「おとなしい方ですね」と誉めてくれる。
元気が萎えたわけではない。
痩せこけた脚の骨をかばいながらも、
母は顔色だけはつやつやしていた。
「おばあちゃん、三度三度の食事の心配も入らないし、
お風呂もトイレも清潔にやってもらって、
もうすっかり安心したのかも知れないね」

よく、世間には、姑を追い出しすなんて
ひどい嫁だなどという話があるが、
どうやら体は動けないにしても
快食快便に満足している顔つきだ。
見舞いに行く妻はホッと胸をなでおろしていた。
持っていったシュークリームを口元に差し出すと
パクリパクリと美味しそうに食べる。
「最高に美味しいです。お世話になります。
ありがとうございます」と健気にこのフレーズを繰り返す。(略)
あまりの真剣なしぐさに涙が出る。

        *

わが家の10年前は、まさにガンと認知症の
“二世代闘病”の「運命」真っ只中でもがいていたわけです。


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2008年5月1日(木)

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