旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第97回
アップグレードの落とし穴

日本でマイレージが本格的に普及して5年以上が経ちました。
それまでアメリカ系など外国系航空会社では実施されていましたが、
日本航空や全日空はこのサービスにあまり積極的ではなかった。
しかし、1997年に国内線でサービスをスタートし、
1999年に海外のエコノミークラスの割引航空券でも
マイルを貯められるようになります。
その頃から、マイレージはあっという間に、
日本中に広まっていきました。
日本航空や全日空の会員は1000万人規模まで膨らんでいます。
マイレージは航空会社のひとつのサービスに過ぎないわけですが、
無料航空券をはじめとする特典の大きさ、
それに入会金等が必要ないという手軽さも
入会への抵抗がなかった理由でしょう。

しかし、サービスが普及すればするほど特典をもらう権利を有する
マイルのホルダーは多くなり、競争相手が増えていくわけです。
無料航空券で旅行しようと思っても予約が取れないことが多くなる。
そこで、その解説策として、注目度が急上昇しているのが、
アップグレード。エコノミークラスの航空券を買って、
ビジネスクラスやファーストクラスに格上げしてもらう特典です。

ただし、気を付けたいのが、アップグレードできる航空券の種類。
ノースウエスト航空やユナイテッド航空、日本航空、全日空など、
アメリカや日系の航空会社の場合、格安航空券では無理で、
PEX(ペックス)などの正規割引航空券でなければできません。
ペックス航空券は正規割引の中で特に割安で、
一般に広く使われるようになってきました。
ですが、ペックス航空券にはいくつかの種類があり、
安いものほどアップグレードできないものが多いのです。

それから、ここでも、席が取れないケースがあること。
お金を払ってビジネスクラスに乗っている人で混み合っていると、
アップグレードできないことがあるのです。
ペアやグループの場合は、その確率がより高くなります。
夏場やピーク時期は特に席の確保が難しく、
芸能人やセレブリティの人たちでごった返す年末年始のハワイなど、
最初から諦めた方がいいかもしれません。
最近は提携航空会社も増えていますが、その提携航空会社では
ほとんど使えないのも、アップグレード特典の欠点と言えます。

一方、キャセイパシフィック航空や大韓航空、タイ国際航空などの
アジア系航空会社は、格安航空券でもアップグレードできますが、
これも例外がある。格安航空券にも、実はいろんな種類があり、
一部対象外のものが存在するのです。
ちなみに、ツアーではまずアップグレードはできません。
こうした「例外的」な状況に当てはまらないとき、
初めてアップグレード特典を活用できることになります。
あくまでマイレージは航空会社の販売促進ツールです。
欠点が数多く存在することを頭に入れておかなくてはいけません。


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