「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第2
サソリに惹かれて 四谷のマンション

ネットのYahooショッピングに
サソリの効能なる一文を発見。
なんと「絶倫無双」とあるではないか。
印度サソリとか、極東サソリとか、
サソリにもいろいろあるらしい。

銀座の行きつけのバーというか、ラウンジというか、
とにかく華やかなクラブのようには
高い料金を取らない店のママから聞いたハナシ。
なんでも彼女が若い頃に中華料理を習った師匠の店で
くだんのサソリが食べられるという。興味しんしん。
このコラムの前任者にして希代の毒筆家・友里征耶氏、
彼の知り合いの妙齢のご婦人方、
誘い合わせて4人で「いざ、出陣!」と相成った。
友里氏とはヒョンなことからというよりも
彼の挑発に乗って、一戦交えてからのつき合いで
喧嘩相手というか、
スパーリング・パートナー同士という間柄。
たまさか杯を交わしたり、食卓を囲むこともある。
もっともメシがマズくなっちゃうから
食事中はあまり論争はしない。

山東料理の「済南賓館」は四谷の迎賓館そば。
四谷中学校の隣りの古いマンションにあった。
駐車場の脇をすり抜けて、奥の突き当たり。
スリッパに履き替え、厨房を横目にダイニングへ。
さびれてつぶれかかった熱海の温泉旅館の一室みたい。
調理もサービスも、かなりお年を召したご夫婦と
手伝いの中年女性の計3人で取り仕切る。
20年物の甕出し紹興酒を舐めながらも
不安が胸をよぎってゆく、、、、まっ、いいか。

最初の前菜の盛合わせが、なかなかだ。
皮蛋や塩漬け玉子を練り合わせた三色玉子が
ことさら紹興酒にピタリと寄り添う。
鮑と海老の湯葉包み揚げ、まながつおの唐揚げ、
鴨胸肉の揚げ葱醤油炒め、他店とは一線を画した
ユニークな味に仕上がっている。

お待ちかねの極東サソリの唐揚げは
沢蟹の唐揚げか、イナゴの佃煮に似ていなくもない。
毒針で上あごを傷つけないように
慎重に噛み砕いて、ゴクリと飲み下す。
一同顔を見合わせ、なぜかうなずきながら
意味もなくニヤリと笑ってしまう。
そのお互いの笑顔がヤケに不気味なのだ。
猛毒の毒とはベツの珍妙な毒気にヤラレたのかも。

そんなことより、その夜以来期待していた
「絶倫無双」の兆候、未だいささかも表れず。チッ!


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