第648回
ポルトガルを食べよう(その2)
千代田区六番町の高級住宅街の一角にある
ポルトガル料理店「マヌエル・カーザ・デ・ファド」で
干し鱈のコロッケと鶏砂肝のトマト煮を
食べ終えたところだ。
一本めの赤ワイン、キンタス・ドス・ロケス‘05年は
なかなか風味豊かにして料理好きの作家・檀一雄が
好みそうな地力を感じさせる。
スペイン産ワインもそうだがイベリア半島のぶどうは
ガッシリとした骨格を持つワインをはぐくむ。
そこが最大の魅力だろう。
続いての軽い料理は芽キャベツのベーコン巻き。
団子の様に串刺しで現れたが面白くも何ともない。
どこがポルトガル風なの? ってな感じで
ちょっと子どもだましみたいだった。
お次の料理はポルトガル風ブイヤベース。
称して海の幸のカタプラーナ。
 |
海の幸のカタプラーナは具だくさん
photo by J.C.Okazawa
|
これは二人前で運ばれた。
カタプラーナというのは
蓋と取っ手の付いた鍋のこと。
上下合わせた形は、丸い最中アイスのようだ。
鍋の中身を入念にチェックしてみると、
具材は、大正海老・小海老・白身魚・あさり・
ムール貝・赤&緑ピーマン・玉ねぎ。
出汁がじゅうぶん過ぎるほどに出ていて
濃厚なうま味を感じさせ、サフランも香る。
ただし、味付けが少々、しょっぱい。
二本めの赤ワイン、ペリキタ‘04年に移行。
1時間ほど前に抜栓をお願いしてあるから
ブーケが立ってかぐわしい。
こちらのほうが好みに合った。
ほかのお二人は甲乙つけがたいご様子。
サカナのあとの肉料理はまず、
ネーミングの垢抜けないひな鶏のジューシー炭火焼き。
これには揚げたじゃが芋とレモンの櫛切りが添えられ、
シンプルな美味しさが際立っていた。
惜しむらくは一羽丸ごと焼いてほしかった。
もっともローストではなく
グリルなのでそれは無理な相談だろう。
二品めの肉料理は仔羊の赤ワイン煮込み。
こちらのつけ合わせはゆでたじゃが芋だ。
赤ワインとはいうものの、見た目は真っ黒で
黒ワイン煮込みの様相を呈している。
味のほうもルックスに負けず劣らず、冴えなかった。
仕上げのライスものは
チョリソとベーコンのオーヴン焼きごはん。
 |
殺風景なオーヴン焼きごはん
photo by J.C.Okazawa
|
ご覧の通り、見るからにつまらなそうな一品。
どうもこのお店、デキ不デキの差がかなりある。
今回の訪問で評価が下がったけれど、
トータルでみれば、まだまだ訪れる価値がある。
明日が見えない波乱の年の歳の瀬に
ポルトガル料理で気分転換と参りましょう。
【本日の店舗紹介】
「マヌエル・カーザ・デ・ファド」
東京都千代田区六番町11-7アークスアトリウムビルB1
03-5276-2432
|