「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1172回
2010年の月間チャンピオン=ディナー篇=(その2)

いよいよ今年の最終日、大晦日がやってまいりました。
月間チャンプ=ディナー篇=の今年後半です。

7月某日
イニッシュモア(恵比寿)・・・アイリッシュパブ
 この月は連夜に渡って都内各地の、いや、いや、
 横浜・鎌倉にまで足を伸ばして角打ちめぐり。
 したがって鮨屋やフレンチには行けなかった。
 その間隙を縫ってチャンプに輝いたのはパブ。
 食いしん坊仲間と押しかけたが
 意想外にフィッシュ&チップスが上々のデキ。
 チャンプの名に恥じない1皿であった。

8月某日
天竜(清澄)・・・和食
 ニューヨーク時代の仲間とリユニオンを開催。
 1人前ずつ別盛りのお造りがビックリするほど多種多彩。
 真子がれい・真ごち・新子・あじ・さんま・
 かつお・中とろ・青柳・いかのラインナップに
 集結したメンバーは大喜び。
 店主のふるさと、天竜川で捕獲された天然鮎は
 塩焼きでよし、鮎めしはさらによし。

9月某日
鮨 山沖(三越前)・・・鮨
 今は無き「千八鮨」出身の店主が
 地に足をつけて営む、つけ台のみの小体な鮨店。 
 開業後、数年で固定客がしっかりとついており、
 この夜もふらりと現われた御仁は満席にて失意の退散。
 同情の思い、禁ずることをえず。
 つまみで儲ける邪心などサラサラなく、
 にぎりで勝負する良心的商いはCPの高さがおのずと際立つ。

10月某日
ペジーブル(本郷)・・・フレンチ
 この夜、集まった仲よし小よしはおよそ10人。
 オーナーシェフの修業先であるブルゴーニュは
 「ラムロワーズ」の味を懐かしむ出席者も少なくなかった。
 スペシャリテの子鳩ロティが白眉。
 黒トリュフとジヴリー・シャンベルタンとの三重奏が
 舌の上で即興コンサートを開いているかのよう。
 マダムのにこやかな接客も二重丸。

11月某日
鎌寿司(西浅草)・・・鮨 
 下戸の親方が見繕うつまみは
 呑ん兵衛のツボを抑えた小ニクいものばかり。
 真子がれいと平目が鮨種ケースで呉越同舟の景色だ。
 蝦蛄の名産地・小柴に揚がった江戸前の平目には感服。
 緻密なテクスチャーを心ゆくまで楽しむ。
 良形の本玉・赤貝は滋味深く、
 半生車海老がデリケートなおいしさ。
 ほどよく燗された澤の鶴が胃の腑にしみ通る。

12月某日
新ばし しみづ(新橋)・・・鮨
 白状すると、今月はまだ訪れていない。
 このコラムの締切り後におジャマする予定なのだ。
 にもかかわらず選出したのはここへ行くこと叶えば、
 今月のディナー・チャンプにおさまることは必至だからだ。
 したがって何を食べ、何がよかったのかはまだ書けない。
 アメリカの経済指標よろしく、速報値とご理解のうえ、
 改定値、および確定値の発表をお待ちいただきたい。

と、こうなりました。
本年のディナーのグランドチャンピオンは
「新ばし しみづ」を除外して「ペジーブル」
次点は「鎌寿司」であります。

今年も一年間ずっと読んでいただき、ありがとうございました。
どうぞ、よいお年をお迎えください。


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2010年12月31日(金)

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