第1173回
東の「倉井」、西の「せきざわ」(その1)
花の東京に奇跡の低価格を実現した食堂が2軒ある。
いや、ほかにもあるのだろうが
少なくともJ.C.のアンテナに引っかかったのはこの2軒。
どちらもただ単に安いだけではなく、
料理の味もよければ、造り手も佳い人たちで
居心地だって悪くないのである。
こういう店舗は未来永劫に続いてほしい。
そんな安い店に電車賃かけて行ったら本末転倒だろ!
経済観念の薄いヤツだな! ってか?
そんなこと言わないでくださいよ、お願いしますよ。
わざわざ出掛けてけっして損のない店で
どこかほのぼのとした温かさを肌で感じるだけでも
めっけものじゃありませんか。
今日はその1軒目、京成立石の「倉井ストアー」である。
最初に断っておくが駅からはかなり遠い。
雨の日、寒い日なんか泣きたくなるから
最初からやめといたほうが無難。
遠いからこそ店の灯りが見えてくるとホッとする。
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入口は 左がスーパーで右が食堂
photo by J.C.Okazawa
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あえて左側から入店すると
スーパーというより町の食料品店といった品揃え。
物品の小売りにそれほど注力しているようには見えない。
メインは惣菜・弁当の販売と食堂の経営だろう。
中でつながっている食堂へ移動。
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招き猫飾りすぎの店内
photo by J.C.Okazawa
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ガランとしているように見えるが
スナップの反対側には数人の客がおり、
揃いも揃って単身での来店で、それも男ばかり。
オッさんは晩酌、アンちゃんは晩飯の図式ができ上がっている。
ラーメンをすするサラリーマンの隣りに身を落ち着ける。
無意識のうち、どんぶりに目がいってしまうけれど、
315円のラーメンが意外にも旨そう。
壁の品書きはうれしくなるほど安い料理のオンパレードだ。
自家製ハンバーグ・メンチカツ 150円
温やっこ 160円 野菜炒め 270円
チャーシュー・豚カツ・焼きウインナー 315円
定食は一律609円で30種類はあろうか。
海老ステーキカツ・はるまきフライ・
かきフライ・ベーコン巻きウインナー・
ピーマン肉詰め・豚ステーキ・豚肉ホルモン
などが並んでいる。
まずはビール大瓶(420円)とカレイ煮付け(265円)だ。
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けっこうなサイズのカレイ
photo by J.C.Okazawa
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下世話な甘辛さがかえってビールによく合った。
肉体労働にいそしんでいれば、
カレイ1皿でどんぶりめし2杯はいけちゃうだろう。
ハンバーグと煮物(270円)を追加した。
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サービスでミートソースが掛かったハンバーグ
photo by J.C.Okazawa
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味の染みた大根・さつま揚げ主体の煮物
photo by J.C.Okazawa
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この2皿で計420円である。
しかも安かろう、不味かろう、少なかろうではない。
立石というと、ばんたびに
仲見世や呑んべ横丁ばかりがクローズアップされるが
「倉井ストアー」も町の名物として認めてあげたい。
めったに訪れる機会のない土地ながら
寅さんゆかりの帝釈天詣での帰りにでも
家族揃って足を伸ばしてみたらいかがだろう。
投じた賽銭分くらいはじゅうぶんに浮くはずである。
おっと、このセコさではご利益なんぞ、
到底、期待できるものではございませんな。
=つづく=
【本日の店舗紹介】
「倉井ストアー」
東京都葛飾区立石2-18-4
03-3691-4593
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