第4回
組織ケーエイ学2: さてどう値付けする?

営業上というか、経営上、非常に重要なポイントとして「値決め」がある。
コストから算出する方向と、市場に聞く方向とふたつの考え方があるけれど、
「一生懸命働くことに価値がある」と、農民的な(?)価値観にもとづいて
価格決定をしようとすれば、どうしてもコスト主義で考えがちだ。
「つくるのに何日かかったから、これくらいはもらわないと・・・」

相手の立場になってみると、それがどれだけの役に立つか、
どれだけの利益を生むかという「結果」こそが大事なわけで、
そのために何日かかったかということは、あんまり関係ない。
市場で争われる商品については、相手がどれだけ満足したかを基準として、
商人の(?)価値観で値決めをした方が実際的だ。

どれだけ労力を費やしたかということは、
単にコストを示しているのにすぎず、市場におけるバリューではない。
・・・たしかに、コストとバリューとを同一視してしまう誤りは多い。

わが社のばあい、商品は、企画とかデザインの「ソフト」である。
この仕事に資格は必要ない。だれでも参入できるビジネスであり、
きわめて市場的な商品と考えられる。

一方で、デザイン会社の費用というのはほとんどが人件費だ。
人件費は月給がベースである限り、基本的には時間比例である。
すると労働時間を基準に価格決定することができれば都合がよいが、
そう簡単にはいかない。

むしろ、その企画やデザインが、結果をだすのかどうかという点では、
費やされた時間はあまり問題でない。
「ある人が1週間かかって考えたことよりも、
この人が3分で思いついたものの方が、お客さんが満足する」ということが、
ソフトの分野ではよくあることだ。
「働くことが価値だ」という考え方から、
「顧客が満足することが価値だ」という方向に、
うまく転換していけるかどうか。

学校あたりでは今でも、「その子なりに、がんばったかどうか」が、
いちばん大事な評価軸となっていると思うが、
これがそもそも市場的な考え方に適さないわけだ。


←前回記事へ 2002年9月2日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ