第10回
カネ・カネ・カネのケーエイ学3: 銀行手数料、どっち持ち?

いまどきの支払いは、銀行振込でなされるのが普通なわけだが、
振込手数料をどっちの負担とするかが、今回の問題である。

会社と会社の取引は、基本的には契約自由の商取引であるから、
どのようにするかは当事者の合意により自由に決められる。
実際には、銀行手数料の負担について、話し合うことはまずない。

額面通りに支払ってくれる取引先もあるし、
請求額面からいきなり720円差っ引いて支払ってくるところもある。
してみると商慣習というのが確立しているのかどうか、
あいまいな部分があると思う。

商法では、「取立て債務」といって、集金が原則である。
集金コストは受取人負担だから、振込にかかる銀行手数料も受取人負担、
ということになる。
民法では、「持参債務」といって、払う側が受取り人までお金を
もっていく。この考え方では、振込手数料は支払い側の負担だろう。

まとめると、法人間の取引などプロの世界では受取人負担となり、
アマチュア相手の場合は支払人負担というルールになる、はずだ。

法人取引を前提としているのに、振込手数料は支払人負担だ、
と約款に書いてあるビジネスをときどき見かける。
そういう特約も有効なのかもしれないが、
こういう約款をつくるセンスには、あまり感心できない。

わが社では、この「プロ・アマルール」にもとづいて、
銀行手数料を実費で差し引いて支払っている。
例外が、プロではあっても商人でない人たち(いわゆる士族)、
それと宅配便である。

宅配便には世話になっている。
この請求がわずか2000円くらいの場合、集荷して配達してくれて、
事務コストをかけて郵便で請求してくるのに、
そこから銀行手数料を差っ引く気にはなれないのである。

さて振込手数料の金額はケースバイケースだが、いちいち調べて
実費を差っ引くのは、かなり煩わしい。
会社によっては、場合によらず一番高い手数料で統一している
ところもあるようだ。
実費主義は、とても面倒である。
銀行のシステムが対応してくれればよいのだが・・・・


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