第45回
組織ケーエイ学19: 愛してます。

まえにも言ったが、いまはストレスがほとんどない。
お気に入りのスタッフを集めることができ、ちょっとヤセ我慢をすれば仕事と顧客を選ぶことができる。ふつう、上司も部下も仕事も選べないのが組織であるから、この部分は、本当に大きい。

信頼できるスタッフがいることは、とても幸せなことで、教科書や法令の「雇用主と従業員」というイメージとはあきらかに違って、労働力と給与の交換という経済的な関係ではいいつくせないものがある。
サラリーマンのときは、想像もできなかったことだが、ぼく自身、彼らになにか特別な感情を持っている感じがあり、もっと単純に「愛している」と言ってもいいぐらいだ。

ことに目の前で私におしりをむけている、ふたりの女性社員に対しては、妻と恋人の中間ぐらい、さらに娘との中間ぐらいの、かなり「愛」にかなり近いものがある。
妻と恋人の中間というのは、日常的な信頼関係と非日常的な恋愛関係の中間くらいという意味だ。
娘というのは、妻とも恋人ともちがって、まったく性的な対象ではない。とにかくカワイイし、大事なものとして離したくない部分と、はやく大きくなって立派なオトナになってくれ、と成長を楽しみに見まもる親心みたいなものがある。
性的な対象かどうかについても、まったくその感情がないともいえないが、いやいや…と、そういう部分を振り払おうとする感じ、これも娘に対するタブーに近い。

去年、もっとも信頼している女性社員が結婚した。このとき感じたことも、恋人を取られたような悔しい気持ちと、娘のシアワセを見まもる親の気持ちのちょうど中間くらいの気持ちであった。
北海道のベンチャーは下半身でつまづく。経営者には、よほど自戒が必要だナ。

さて男の社員についてはどうか。女性と比べれば多少は冷静で、恋愛に近い感情はまずない。しかし信頼とか期待とか執着とか、そういう愛情の質では、これも自分に対する気持ちと息子に対する気持ち、それと親友に対する気持ちでもって三角形をつくったときに、ちょうどその中間くらいかな、という気がしている。


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