第63回
カネカネカネのケーエイ学11: 夢と年収と。

ここ数日で思いきりオトコを下げたのは、野球の中村だろうね。独善の老人に逆らって、髪をオレンジ色に染めたまでは最高にカッコよかった。
阪神は彼に、数十億円のギャラをオファーしているという。野球選手としての能力はともかく、アイドルとしての価値が日々急落していることに、阪神はその後気づいただろうか。金額に換算すれば、10%や20%ではすまないように思う。来年はCM契約も激減するだろう。

なぜ中村がオトコを下げたか。
彼がメジャーに行きたいという夢を持っていることはあきらかだ。どの球団が雇ってくれるか、またいくらで契約してくれるか、確信が得られないために迷っているように見える。破格の条件提示をソデにして、おれはメジャーと言うわけでもない。これだけの金額をもらえるならよし阪神だと決心するわけでもない。メジャーがだめなら国内でも、と自分を安全圏におきながら、それでもまだ、いまがチャンスとばかりに、上のものをさがしている。
まったく、ふたまた・みまたかけながら、まだキョロキョロ新しい男を捜しているような、そんな恋人をもったらたまらない。

新庄は、車を売って最低年俸でメジャーと契約した。松井も早くからメジャーへ行くと宣言したが、球団も年俸もまだ決まっていなかった。それでも彼らはメジャーへ行く。野茂やイチローが切りひらいたあこがれの世界。そこに彼らの夢がある、という。
そんな夢だから、オレたちも乗れる。
中村は、夢と年収をはかりにかけて、結論が出せずに迷っている平凡な人間に見える。
それなら、ふつうのサラリーマンと同じではないか。

誰だって夢をもっている。年収が半減してもいいと決心すれば、夢を追うことはできる。転職して年収もステップアップできる時代じゃない。今の生活と年収を維持しなければならないと、前提にするから冒険ができないのだ。

しかし、どうして、そのライフスタイルを守らなければならないのか?
引越しできないとか、車を維持しなければならないとか、大学へ入れなければならないとか・・・どれも何とでもなることじゃないか?
手はじめに、テレビを消してみるといい。テレビがなくても生活はできるし、むしろそこから上質な生活がはじまる。
捨てる覚悟のない人間に、夢を語る資格はない、ということじゃないか?


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