第18回
マネを上廻れば創造

150円のコーヒーでスタートした
ドトールコーヒーショップ創業時の話です。

原宿の駅前の10坪の小さなドトールコーヒーショップの開店から
売上げは10万円にも届かずしばらく低速していました。
開店時期が直営店より早かった為に
フランチャイズの方の店が一号店になりました。
本部の社員3名が店に入って一つ一つの基準を決め、
手順(マニュアル)に落とし込んでいく日が続きました。
この数ヶ月の日々が一番大事な時間です。
こうして10号店の出店のメドが立った時、
モデルとしたドイツの巨大チェーン
「チボー」のトップが来日して、
ドトールコーヒーを見たいと申し入れてきたのです。

日本のコーヒーロースターがドイツに訪問し
見学させてもらうのはチボーであり、
ライバル会社のエデショーでした。
店に多勢で押しかけ、遠慮のない質問をする事も多かったのです。
今度は逆の立場になりました。
数々の日本の市場についての質問(200項目以上ありました!!)
が終って、下北沢にある店に案内しました。

ホットドックを食べ、
小売用のパッケージを手に取っているチボーのトップに
「チボーさんをモデルにマネをしました」
と鳥羽社長が云った時、
「Mr鳥羽、これはマネではない。マネを上廻った創造だ」
と云ったのです。
ドトール側はびっくりし、うれしくなりました。
そのマネを上廻れば創造なのです。
マネるなら完全にマネする事が成功する一歩です。

チボーのトップが一番興味を示したのは
アイスコーヒーでした。
数年後ドイツのチボーにて
何とアイスコーヒーが販売されていました。


『マネる事は恥かしい事ではない。
大切なのはその本質を見抜けるかどうかである』


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